紺青の縁 (こんじょうのえにし)
桜子は、宙蔵の四十九日が終わり、霧沢が訪ねた時に、強気の女将に似合わず消え入るような声でぼそぼそと呟いた。霧沢はその言葉を思い出す。
「私の人生だもの、好きなようにするわ。支えてくれそうだし」
そして今思えば、それは一体誰が支えてくれると言うのだろうか?
霧沢はずっとずっとそれは光樹だと思っていた。
しかし、もしその支えてくれる者が光樹とは異なる誰かだとすると、まったく違ったシナリオになるのではないだろうか?
そのように考え直してみたりもした。
だが、これは苦し紛れの単なる推理なのかも知れない。つまるところ、まだまだ四つの出来事の全貌を掴むシナリオは未完成。
しかし霧沢は、もし洋子殺害の犯人が桜子だとすると、その怨念の深さを思い、背筋がぞっと寒くなってくるのを覚えるのだった。
作品名:紺青の縁 (こんじょうのえにし) 作家名:鮎風 遊