紺青の縁 (こんじょうのえにし)
霧沢はここまで推理し、今まで持ち続けてきた疑問が少し氷解してきたような気にもなった。
しかし、桜子は兎も角として、良き友人であった滝川光樹。さらに言えば愛莉の夫・大輝の父でもある光樹。その光樹が推理の中では殺人に直接的に絡んでいたことになってしまった。
それがなんとも言い尽くし難い残念なことであり、かつ忸怩(じくじ)たる思いでもあった。
だが霧沢はここで立ち止まってしまう訳にはいかない。この三十年間に起こった四つの出来事。その全貌が知りたい。
そして、もしそれらの謎解きがすべて完了できたならば、その後にきっと何か人生にとって、とてつもなく貴重なことに出逢えるかも知れない。
霧沢にはそんな予感が不思議にしてくるのだった。
作品名:紺青の縁 (こんじょうのえにし) 作家名:鮎風 遊