小さな物語
「あー……カムバック春休みー」
何でこんなにも長期休みは短く感じるんだー、と机に突っ伏して項垂れる少女。
ここは、空中都市ヒンメルの魔法学園__クエント学園。
魔力さえあればどんな種族でも入学可能で全寮制。薬学科、戦闘科、魔法科の三つに分けられている。勿論、全ての授業を受ける事ができるが選んだ学科の方が他の授業よりも受ける回数が多い。
今日はそのクエント学園の入学式。
机に突っ伏している少女はライ・アズラク。一つに結んだ銀髪に眠そうに半分閉じられた青い瞳。そして何故か白衣姿の彼女が今居るのは保健室。現在入学式の真っ最中にこんな場所に居るライは完璧にサボリだ。
部屋に掛けてある時計を見ると、まだ入学式が終わるまで後三十分以上残っている。
三十分も暇が潰せることないので一眠りしようと目を閉じたその時____
「あ、やっぱ此処に居たー!」
がらっ、という扉の開く音と共に保健室に入って来たのは赤髪をポニーテールにした緑色の瞳の少女。
顔をあげてその少女を見るライの表情は、不機嫌以外の何でもなかった。
それに気付かずにライの隣に座った少女は、ライの顔を見るとあちゃー。という表情になって、
「……もしかして、寝てた?」
と、恐る恐る聞いてきた。
「いんや、寝ようと思ってただけ」
「そ、そっかー……」
ごめんねー。と申し訳なさそうに謝る少女を見てライは、今までの不機嫌さは何処にいったのか、ケラケラと笑い出した。
「ら、ライちゃん……?」
「ん? 何?」
「怒ってたんじゃ……ないの?」
その言葉を聞いてさらに笑い出す。
「寝ようとしたのを邪魔されたぐらいじゃ機嫌は悪くなんないよ。あれはちょっと君を騙してみた」
「そっかー。……そうだよねー!」
ライが怒っている訳ではないと分かった途端、少女のテンションは急に上がった。
「ところでティエラ。私になんか用事でもあんの?」
ティエラ、と呼ばれたその赤髪の少女は「あ……そうそう」と、口を開いたのとほぼ同時に
「僕の愛しのティエラは此処かい!?」
「サボリに来たぜー」
少年が二人、保健室に入ってきた。
何でこんなにも長期休みは短く感じるんだー、と机に突っ伏して項垂れる少女。
ここは、空中都市ヒンメルの魔法学園__クエント学園。
魔力さえあればどんな種族でも入学可能で全寮制。薬学科、戦闘科、魔法科の三つに分けられている。勿論、全ての授業を受ける事ができるが選んだ学科の方が他の授業よりも受ける回数が多い。
今日はそのクエント学園の入学式。
机に突っ伏している少女はライ・アズラク。一つに結んだ銀髪に眠そうに半分閉じられた青い瞳。そして何故か白衣姿の彼女が今居るのは保健室。現在入学式の真っ最中にこんな場所に居るライは完璧にサボリだ。
部屋に掛けてある時計を見ると、まだ入学式が終わるまで後三十分以上残っている。
三十分も暇が潰せることないので一眠りしようと目を閉じたその時____
「あ、やっぱ此処に居たー!」
がらっ、という扉の開く音と共に保健室に入って来たのは赤髪をポニーテールにした緑色の瞳の少女。
顔をあげてその少女を見るライの表情は、不機嫌以外の何でもなかった。
それに気付かずにライの隣に座った少女は、ライの顔を見るとあちゃー。という表情になって、
「……もしかして、寝てた?」
と、恐る恐る聞いてきた。
「いんや、寝ようと思ってただけ」
「そ、そっかー……」
ごめんねー。と申し訳なさそうに謝る少女を見てライは、今までの不機嫌さは何処にいったのか、ケラケラと笑い出した。
「ら、ライちゃん……?」
「ん? 何?」
「怒ってたんじゃ……ないの?」
その言葉を聞いてさらに笑い出す。
「寝ようとしたのを邪魔されたぐらいじゃ機嫌は悪くなんないよ。あれはちょっと君を騙してみた」
「そっかー。……そうだよねー!」
ライが怒っている訳ではないと分かった途端、少女のテンションは急に上がった。
「ところでティエラ。私になんか用事でもあんの?」
ティエラ、と呼ばれたその赤髪の少女は「あ……そうそう」と、口を開いたのとほぼ同時に
「僕の愛しのティエラは此処かい!?」
「サボリに来たぜー」
少年が二人、保健室に入ってきた。