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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 3 蒼雷

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「・・・・・・いいじゃない。二人で気持ちいい事しましょうよぉ・・・。」
 言いながらアリスはアンドラーシュの首に腕を回す。
「アリス、いい加減にしないと・・・。」
「娘さんに知られるのが怖い?」
「・・・・・・っ」
 アンドラーシュの耳元で熱っぽくアリスがそう囁くと、アンドラーシュは言葉を詰まらせた。
「娘と同じ歳の女は抱けませんか?」
「・・・怒るぞ。」
「知られるのが怖いのは、ジゼル?それとも・・・。」
「アリス!」
 アリスの言葉を聞いたアンドラーシュは、いままでの冗談交じりのやり取りからは信じられないような剣幕で声を荒げ、アリスはその声にビクッと視を震わせると、再びうつぶせになり、枕に顔を埋めて首を振った。
「アンが怒ったぁ・・・だって、嫌なんだもん・・・ひとりぼっちは・・・もう・・や・・・なんだ・・・もん。」
 そう言って駄々をこねるようにして枕の中で数回首をふると、アリスは、すぐに寝息を立て始めた。
「うわ・・・寝やがった。」
 アンドラーシュは一つ大きなため息をついて、眠っているアリスに近寄ると、履いたままになっている靴を脱がせ、服の首元と、ベルトを緩めて毛布をかけて、アリスを仰向けに寝かせ直す。
「まったく。そんなんだから、お前は子どもだって言うんだよ。妹のほうがよっぽどしっかりしているじゃないか。」
 そして、アリスの髪を結わえている髪飾りを外して枕元に置くと、手で髪を整えてやり、そのまま頭を撫でる。
 頭をなでられたアリスは、気持ちが良かったのか、むにゃむにゃと目を細め、頭を撫でるアンドラーシュの手に自分の手をあてた。
「へ・・・い・・・か。」
 アリスの口から漏れた寝言に、アンドラーシュの手が止まった。
 彼女がバルタザールにただならぬ思いを持っていた事は、十年前の彼女を知っている者たちの間では公然の秘密だった。  
 アンドラーシュは一つ溜息をついて、憐れむような、慈しむような視線をむけながら、アリスの頭を一度なでると彼女の手を毛布の中へ戻し、燭台の明かりを落としてから自分は部屋に備え付けのソファに横になった。