探偵部の事件
「狙いは羽崎先輩ですか?」
ホームについた。ベンチに座る。
今度は冷めた様子で、
「違うよ」
と言った。
「では、誰ですか?」
「知りたいの?」
「はい」
「直接は恥ずかしいから、暗号をあげよう」
言うと先輩は、メモ用紙を出して数字を書いた。
(2、6。1、8。2、8。1、7。1、4。1、9。2、6。1、8。2、8。1、9。)
と書かれている。
「これは宿題だ、わかったら、褒美をあげよう」
といい渡してくる。
「ヒントはありますか?」
腕を組み、考えている。
『黄色い線の内側でお待ちください』
唐突に聞こえた、電車が来る。
「文系には、難しいと思う」
車内は、混んでいるが、一気に人が出て、かなり空いた。
電車に乗る、先輩の家と俺の家は200メートルくらいの距離だ。
電車も同じなので、話は続く。
「笑顔がいい、とか言う人いるけど実際そう思うか?」
「男子は何とも言えないですけど、女子なら先輩はレアだから、いいと思いますよ」
また顔を赤くする。
「私だって、よく笑うよ?」
「そんなでもありませんよ、それより」
無理やり話を変える。
「携帯について、どう思います?」
話を変えられて不満そうな顔で、
「まだなんとも言えないね」
俺は頷く。
「ですよね」
「でも、理由なしの犯行じゃないね」
驚く。
「どうしてですか?」
先輩は咳払いをする、少し長いのだろう。
「まず、スリルを求めるだけ、衝動的に、だったら一回か、一日でやめるはず、それが続いてるなら、理由があっての、と考えられるはずだ」
なるほど、矛盾はない。
「じゃあ、理由は、何でしょうね」
「わからない、けど、想像はついている」
俺はすかさず言う。
「教えてください」
先輩は少し笑い、
「明日みんなに言うよ」
と言った。
電車を降り、雑談をして家に帰った。
飯を食って家を出る。
登校はだいたいいつも、一人だ。
時間もまだまだあるので、ゆっくり行くことにした。
校門前に見慣れた後姿がある。
平野だ。何をしているんだ?
近づくと、後ろを向き、
「待ってたよ」
と言った。
理由が分からず言った。
「何で?」
静かに言った。
「カメラのセット」
ああ、思い出した、
「もう渡されたのか」
「うん、だから早めにと思って」
「なるほど」
平野と教室に行く。
まだ早すぎて、人は居なかった、チャンスだ。
「早めに取り掛かろう、カーテンの上と、………ロッカーの隙間でいいか」
「私もそう思った」
平野が言う。
「じゃあ、廊下見張ってて」
「カーテン届くのか?」
指を二つ出して、Vサインをつくった。
「楽ショー」
優等生らしからぬ行為だ。
俺は廊下に出る。
この時間じゃ、まだ来ないだろう。
俺はトイレへ行った。