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探偵部の事件

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相模高校は、平凡レベルの進学校で部活動が豊富ないいところだ。
運動系の部活、主にバスケ、サッカー、野球はそれなりの強さで、文科系は特出するところなしだ。
そんな前置きをして自己紹介、1-3比嘉 黒彦 「探偵部」に所属している新入生…と、ここまでにしておく。
あまりに少ないが、それよりも重要なことを片付けよう、
今は放課後、場所は第三会議室、探偵部 部室だ。
そこで話し合いが行われている、議題は、
「相模高校全校ケータイ紛失事件」

「で、一年生は何人だ?」
言ったのは、ボーイッシュな言動が特徴のストレートヘアー 探偵部 部長2-3佐野 亜紀先輩
「とりあえず、きょうで3人聞いてます。」
これが俺と同じ一年、ポニーテールの優等生 探偵部 書記1-2平野 咲
「そうか、二年は4人だったな?」
佐野先輩に確かめるのが、結構イケメンな、これまた優等生2-1羽崎 和人
そして、俺、計4人が、探偵部の部員だ。
「ああ、三年は聞いたところ、2人だ…計9人。これは異常だ。」
3日前から、携帯の紛失が多い、と担任から聞いた。
最初は、2〜3人だろう、と聞き流していたが、佐野先輩が妙に食いつくから、少し調べたところ、先生に言っていない人が多くいた、それもそうだ、この学校は「携帯持ち込み禁止」だからだ、しかし、紛失は大ごとだ、まず事情を聞いたが、全く取られる覚えはなく、管理もしっかりしているらしい。異常に気づいた先輩が、臨時会議を行なっている。
普段はミステリー小説を読むだけの部活だが、大きな事件には、首を突っ込む、頼まれていないが、解決しようとし、勝手に推理して犯人を見つける。探偵部のモットーだ。
「今回の紛失事件、回数が多すぎる、そこで私は、誰かが起こした可能性が高いと見てる。」
「まあ、妥当だな。それで、誰かもわかってるのか?」
佐野先輩はゆっくりかぶりを振った。
「わからない、そこで今回初の臨時会議をしてるんだ」
そう、この部活はできて一年、さらにその間、特に大きなことは無かったせいで、まともなことをしていない。
「現状でわかってるのは、紛失数が異常、ということだけだ。」
俺が言う。
「それで特定は無理ですね。」
「ああ、まずは、情報を集めよう。一年生2人で、一年に聞いてくれ、羽崎は二年を頼む。」
「わかった」
短く、鋭い返事だ。
「私は、三年生を当たる、ささいな事も、聞き漏らすなよ」
「はい」
「了解」
「イエッサー」
佐野先輩が、すかさず突っ込む。
「サーじゃねえ」

教室に戻り、平野に言う。
「まず、何を聞くか」
「とりあえず、携帯を紛失した人に、不審な人を見かけたか、だね」
「そこが最重要だよな」
俺が頷く。
「あと、携帯を落としそうな場所も聞いておこう」
平野が首を傾げる。平野らしくない、可愛い仕草だ。
「何で?」
「先輩は、誰かがやった可能性が高いと言ってただけだ、落ちやすい場所で皆落としたかもしれないからな」
理解したらしく、明るく言った。
「その二つを聞けばいいね」
俺は頷く。
「よし、今日は帰った奴もいる、明日の朝と昼に聞くぞ」
「わかった」
と言って早足で自分の席へ戻る。早足で。
気持ちはわかる、なぜなら、残ってるクラスメイトの大半がこっちを見ているからだ。
平野は結構美人だ、それゆえ、男子の目が行くのはわかる、だが女子が見ている理由は、おそらく、決まっている。恋愛のオーラを感じているのだろう。んなことねーって。
翌朝、登校直後、携帯を紛失した人に話を聞いたが、まったく情報は無かった。
落としやすい場所すら、全く聞けない。
仕方なく、無関係者に聞いたところ、こちらもほとんど無かったが、一つだけ、いい話が聞けた、
「体育の時間、教室でこそこそやってる奴を見たよ」
顔は見てないらしいが、十分過ぎる、これで紛失はなくなるはずだ。

放課後第三会議室
「……という話を聞きました。」
朝聞いた話をあらかた説明する。
「つまり、一年の教室で怪しいのを見かけた…と」
佐野先輩が、静かに言う。
平野が言う。
「体育の授業で更衣室まで、携帯は持ってきませんよね?」
しばらく黙ってた羽崎先輩が口を開く。
「なら、体育の時間、教室を見張ってれば、紛失はなくなるんじゃないか?」
佐野先輩が肯定する。
「だな」
「一年の体育、次は明後日です」
平野は時間割を覚えている。
「1ついいですか?」
俺が尋ねる。
「何だ、黒彦」
「それって、サボることになりますよね?」
…沈黙が走る、走る、走る。
転んだ。
佐野先輩はニヤニヤ笑いながら、言った。
「まあ、平野はダメでも、お前は平気だろ」
残る二人も笑う。
「結構ひどいこと言ってますよ」
「まあ、冗談だ、確かに問題だが大したことじゃない、羽崎」
言われた先輩は、すべて理解しているようだ。
「一つで平気か?」
一年の2人は訳がわからない。
「2つだな」
「わかった」
ここで、ようやく説明がくる。
「こういう時のために、羽崎に監視カメラを買わせといた」
胸を張っていう佐野先輩。
羽崎先輩は笑う。
「本当に使う時が来るとは」
「明日お前らに渡す、うまく隠せよ」
平野が驚く。
「本格的だ…」
「場所はどうすれば?」
佐野先輩は少し悩んで、言った。
「任せる」
任せられても困るんだがな…。
そんな考えを知らない平野は張り切って、
「頑張ります」
と言う。本格的なのが嬉しいんだろう。
部長の解散の声で、皆家に帰る。
帰り道は、平野と羽崎先輩が西、俺と佐野先輩が東、とキレイに分かれている。
道中、佐野先輩と話すことは、いつも学校生活のことだ。
今日はさすがに違うと思ったが、いつも通り、学校生活のことだった。
まあ、携帯について、話しても分かることはないだろう。
「あんた、彼女いるの?」
入部当初、そう聞かれた時に「がっ?」と、奇声をあげてしまった。
最近は、話す内容が定まってない。
「あそこの木はやっっぱり邪魔!」
「まあ、俺もそう思いますね。」
「でしょ!?、やっぱみんな思ってるんだよ」
「でも、校長先生の思いでの木らしいですよ」
「知るか、あんなもん切っちまえ」
などと、くだらない話をしていたら、駅についた。
相模駅は結構大きめの駅だ。
駅でいちゃついてるカップルを見てイラついたらしく、話す内容もないので
「付き合っても得することはないと思うんだが」
といい240円入れて切符を買う。
「得はないけど、嬉しいでしょう」
俺も切符を買う。
「人生は得を得るために生きているんだよ」
「先輩は、告白されたことありますよね?」
「ああ、振った」
あっけらかんと言う。
「先輩は、そこをなおせばもっと モテるのに」
少し、寂しげな笑みに、ドキッとする。
「複数にモテる必要はない、好きな人に振り向いてもらえればいいんだよ」
「先輩になら、振り向くでしょう、可愛いんだから」
先輩の顔が赤くなる、可愛いとあまり言われないのだろうか。
「お前から見て、私は可愛いのか?」
先ほどまでとは、全く違う、女子らしい声で言って、今度はこっちが顔を赤くする。
「その…はい」
先輩は可愛らしい笑顔で言った。
「ありがとう、すごく嬉しい」
後輩に言われて喜ぶほどだ、慣れてないのだろう。
作品名:探偵部の事件 作家名:川島 亮太