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レゾンデートル2

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超高層マンション『ロラン』の自動ドアから出てきたのは、頭に眼鏡を付け、思いっきり疲れた顔をしたユーリが出てきた。漆黒の髪はところどころ跳ねている。スーツは肩からずり落ちそうになり、Yシャツのボタンは互い違いになって、とてもだらしない格好である。
━あのクソ野郎!今度会ったらただじゃおかねえ。
 昨夜の『バウンティーハンター』の依頼は、100人のサングラスをかけたスーツの男から10分間逃げ切るという無茶ぶりな依頼だったが、運動は得意な方だったので楽に依頼達成できたが、他の『レゾンデートル』の依頼に巻き込まれたため、なかなか現実世界に帰れなかった。八つ裂きにされそうになったり、蜂の巣にされそうになったり、火の海に落ちそうになったりといつ死んでもおかしくない状況の中を逃げていたなんて、今思うと冷や汗が止まらない。
 現実世界では、仕事で警察と共に行動をしているので犯人の持つ銃刀や爆薬は慣れていたが、流石電脳世界であるだけ迫力が違いすぎる。RPGとどっこいだ。
━全く、現実世界でなければ大変なことになってた。
 『バウンティーハンター』の世界で死んだ者は、現実世界への強制退場。ミッションを中断したら、そのミッションの報酬と同じ金額を払ってもらうことになる。『レゾンデートル』にとって一番犯したくない選択である。
 やっと『ラグニクス』の赤いボタンを押して、現実世界に帰れた頃には時刻は朝の5時を過ぎていた。外は朝日が昇り、遠くの方では雀が小さく囀り朝を迎えようとしている。ユーリはノートパソコンに向かい、目をぱちくりさせていた。ノートパソコンには「Mission Clear!」と金色の文字で書かれ、花火が上がっていた。それを見て嬉しいやらムカつくやら複雑な気持ちでいっぱいだった。
 「暑ちい。」
 8月上旬の暑さは尋常ではない。特に今日は、30℃を超える猛暑日である。寝不足で朝食抜きのユーリにとって、最悪の一日の始まりである。
 普段は、8時30分に着くように事務所に向かっているユーリだが、今日は昨日の逃走で全身筋肉痛になったため普段より遅く行こうと思っていたが、今日に限って依頼が3件も入っている。しかも最初の依頼は、9時からになっている。
 「やべっ!」
 3件の依頼があることを思い出したユーリは、全身が筋肉痛なため酷い体勢とみっともない格好で走り出した。時刻は、8時55分を超えていた。マンションから事務所まで走っていっても10分はかかる。これは、もう完全なる遅刻だ。
作品名:レゾンデートル2 作家名:ユリア