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レゾンデートル

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超高層ビルが建て並ぶ大都会『セントラルタウン』。その街の中で最も高い50階建ての超高層マンション『ロラン』の最上階。ほとんどの人が寝静まった時間に、最上階の一部屋だけが小さな明かりがついていた。
 その部屋からは、マウスのスクロール音だけが響いている。時刻は深夜2時を回ったところだ。その部屋にいたのは、眼鏡をかけた群青色のスーツと黒いズボンを着、漆黒の髪と切れ長の青い瞳をした18歳の青年。ユーリ・ラムレス。
 頬杖をつきながら彼が見ているものは、ワインカラーのノートパソコンの画面。映っているものは、本日のニュース覧。経済、エンタメ、スポーツ、音楽、ゲームなど最新の情報が掲載されているサイトである。
 芸能人の結婚や殺人事件、強盗事件。世の中は、良いニュースばかりではなく、悪いニュースもある五分五分の世界である。パソコンのインターネットにあるニュース覧を見るのは、学生の頃からの日課であった。
 ユーリがまだ学校に通っていた頃は、常に学年の首位であり、スポーツも抜群な完璧な学生だった。そして、なによりユーリの学校での楽しみは、図書館にあるミステリー小説を読むことである。本は、いろいろな世界に連れて行ってくれるということと、自分の知らないことが次々に頭の中に入ってくることが楽しかった。特にミステリー小説は、考えていたことを幾度も裏切られたことがあった。だからおもしろい。
 学業を終えたユーリは、『ロラン』から歩いて10分あるところに探偵事務所を開いている。難しい難題を数多く解き、それなりの金のある有名な名探偵であるが、助手は一切取らず、テレビの出演もすべて断っている。ただ謎を解いて報酬を貰う。人生は、これを繰り返していればいいとユーリは思っていた。
 「?」
 ユーリは、経済の覧にある一番下にあった『バウンティハンター』という項目を見つけた。
 15歳の時からずっとどのニュース覧を欠かさず見ていたが、『バウンティハンター』なんて今までに一度も見たことはなかった。ましてやゲームみたいな名前のものが、なぜ経済の覧にあるなんてと疑問が頭の中を駆け巡っていた。
 「バウンティーハンター。賞金稼ぎか。」
 賞金首を探せとか言う海外の掲示板かと思い、ユーリはその項目を興味本位でクリックしてみた。
 すると急にパソコンが光りだし、向かっていたユーリの姿はなく、パソコンの黒い画面には「New member join」と金色の文字が出ていた。
作品名:レゾンデートル 作家名:ユリア