ねとげ~たいむ
本当に蟻の巣に迷い込んだような物だった。
どこもかしこもシザー・アントばかり、私達はモンスターの群れを蹴散らして先を進むんだ。
そしてあるフロアに出た。
底が見えない切りたった崖に一か所だけ、石橋がかかっていた。
私達はその石橋を渡るが、後を負って来たシザー・アント達が石橋を渡り始めた。
蟻と言えども人間くらい大きな訳だから大勢で乗られれば人1人分しか無い足場は当然脆くなる、石橋に亀裂が入り始めた。
「コロナ、急いで!」
レミが叫ぶ。
私はシザー・アントに背を向けて走り出した。
しかし石橋は崩壊し、シザー・アント達は闇の中に消えて行った。
「はっ!」
私は崩れる寸前の足場を蹴って右手を伸ばした。
何とか崖にぶら下がったが、私1人じゃとても昇る事が出来なかった。
「おりゃあああっ!」
上の方から声が聞こえる。
きっとレミが戦ってるんだろう。
「サリア、コロナを助けて!」
「は、はい!」
話が聞こえる。
崖の上でサリアさんが膝を突くと私に向かって手を伸ばした。
私も手を伸ばして彼女の手を取る、しかし……
「ごめんなさい」
「えっ?」
その言葉の意味が分からなかった。
サリアさんはわずかに口角を上をあげると突然私の離した。
私は奈落の底に落ちて行った。