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ねとげ~たいむ

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 何とか間に合った。
 私は後ろに倒れているエミルを見た。
「エミル、怪我は無い?」
「コ、コロナっ? 何で?」
「決まってるじゃない、助けに来たのよ!」
 私の皮の盾が相手の武器を抑えつけた。
 これは私が初めて購入した『ガード・スキル』の効果だった。
 このスキルのおかげで私は1人だけだけど仲間を敵の攻撃からかばう事ができる、しかも防御状態で使えば雑魚モンスターからのダメージは殆ど無い、
 だが私の後ろからも残ったゴブリンが攻撃を仕掛けて来た。
「ファイアっ!」
 突然森の中から紅蓮の火球が飛び出してゴブリン達を呑み込んだ。
 振り向くとそこには1つの影があった。
「センリ!」
 センリは私達に向かってVサインを出した。
『ガガガッ!』
 するとボウ・ゴブリン達がセンリに向かってボウガンを放とうとする、しかし……
「おんどりゃあああっ!」
 茂みの中から飛び出したレミが凄い形相でメイスを振り回しながらボウ・ゴブリンに特攻、渾身の力を込めてまるで野球のようにゴブリン達を殴り飛ばした。
「うちの子になにさらしとんのじゃあっ! ワレェーっ!」
『グゲェ―――ッ!』
 ボウ・ゴブリン達は消滅した。
「このチンピラがぁ! 舐めたらいかんぜおっ!」
「「ヒィィっ!」」
 私とエミルが背筋が凍るかと思った。
 ゴブリンよりレミの方が何倍も恐かった。実際ゴブリン達も怯えて腰を抜かした者もいる、
「全く、案の定こうなったわね」
 般若の顔から元に戻ったレミは未だ怯えているエミルに近付き地面に膝をつけるとエミルに向かって呪文を唱えた。
「キュアっ!」
 金色の光がエミルの体を包み込むとエミルの麻痺を治し、さらにヒールを唱えて体力を全回復した。
「はい、治したわよ」
「あ、ありがと……」
 そっけなく言ったレミにエミルは素直に感謝しながら立ちあがった。
 そして私はエミルに言った。
「エミル、一緒に戦おう!」
「コロナ?」
「折角パーティを組んだんだからさ、最後まで一緒にやろうよ」
「1人よりみんなでプレイした方が、ゲームは楽しい」
 私の隣にやって来たセンリも私に賛同してくれた。
 一方レミは少し顔を赤くして目を反らすと言って来た。
「ま、まぁ…… 折角だから、やってあげても良いけど」
 レミは背中を向けた。
 素直じゃないけど一緒に戦おうと言っている、
「分かった。アタシもやる…… コロナやセンリは可哀想だし」
 レミの隣にエミルが立つとトンファーを構え直した。
「うん、一緒にクリアしようね」
「戦闘開始」
 私の隣にセンリも肩を並べて武器を構え直す、

『ゴアアっ!』
 ボブ・ゴブリンが私達に向かって指をさすと手下のゴブリン達が一斉に飛びかかって来た。
 だけど私達の団結力はゴブリン達を蹴散らして行った。
 アタッカーの私とエミルが敵をかき回し、センリが魔法攻撃でサポート、体力が少なくなったらレミが回復する、基本だが私達は役割を果たしながらゴブリン達の数を減らしていった。
『ゲェエ!』 
 最後のソード・ゴブリンを撃破、残るはボスだけだった。
 ボス・ゴブリンも他のゴブリン同様、エミルと私が必殺技を放って攻撃した。
「気合い斬りっ!」
「エミル・ぱんちっ!」
 私達の渾身の力を込めた技が炸裂し、ボブ・ゴブリンにダメージを与え続けた。
 しかしさすがボスと言うべきだか、簡単には倒れなかった。
『ゴアアアッ!』
 ボス・ゴブリンの一撃が私とエミルの上に斧を振りおろして来た。
 だけど私達は左右に跳んで回避する、
 素早さの低い私でも交わせるのだからボブ・ゴブリンの命中率はあまりない、しかし痛恨の一撃が出ようものなら即死は無いだろうけど私ですらどうなるか分からない、
「これじゃ近付けない〜!」
「何とかして動きを止めないと」
 とは言え私は『特技』コマンドを開くが私の覚えている技はさっき使った相手に1・2倍の攻撃を放つ『気合い斬り』と後1つだけだった。
「2人とも下がって!」
 レミの声が聞こえたかと思うとその横ではセンリが魔法を放とうとしていた。
 右手に杖を持って額の所で左手を交差させ、目を閉じながら呪文を唱えると足元に紫色の六亡星の魔法陣が出現し、センリはカッと目を見開いた。
「グラビティ・バインドっ!」
 杖を地面に突き刺すとボス・ゴブリンの足元にも同じ魔法陣が浮かび上がる、
 途端魔法陣から大きな鎖が飛び出すとボス・ゴブリンに巻きついた。
『ガアアッ?』
 ボブ・ゴブリンはがんじ絡めになって暴れ出すが鎖は引きちぎれない、
 センリは私達に向かって言って来た。
「今の内に力を溜めて、一気に行く」
「分かった!」
 私はコマンドの中からこの技を選択した。
「渾身っ!」
 私の体から赤い光が発せられた。
 これは1ターン使う事で攻撃力を2倍にするという物だった。
「チャージっ!」
 エミルも攻撃力を高める能力を持っている、ただ武闘家専用の技なので名前が違った。
『ゴゴ…… ガガガ……』
 ボブ・ゴブリンは額に血管を浮かばせながら必死で鎖を引き千切ろうとしていた。実際鎖に亀裂が走り始めていた。
「ブレイク・ダウン!」
 レミが叫んで右手を天に掲げるとボス・ゴブリンの頭上に金色の魔法陣が出てきてゆっくりと降りて来た。
 しかしこの魔法もセンリ同様にダメージを与える物では無く、指定した敵1体を防御力を落とす魔法だった。
「今よ、アンタ達!」
「分かった! エミルっ!」
「うんっ!」
 エミルは力強くうなづいた。
 そして私とエミルは大地を蹴ってボス・ゴブリンに向かって攻撃を放った。
 しかし丁度グラビティ・バインドの効果が解け、ボス・ゴブリンを縛っている鎖が千切れた。しかし遅いっ!
「気合い斬りっ!」
「す〜ぱ〜・エミル・きぃ〜っくっ!」
 私の剣とエミルの飛び蹴りがボス・ゴブリンに炸裂した。
『グガアアア―――ッ!』
 ボス・ゴブリンは断末魔を上げながらその場に地響きを立てて倒れて消滅した。
「やったーっ!」
 私達は喜んだ。
 何せ私達が力を合わせてつかみ取った勝利だったからだ。
作品名:ねとげ~たいむ 作家名:kazuyuki