ねとげ~たいむ
それから色んな事があった。
時にはケンカをする事もあったけど力を合わせてクエストをクリアしたり、競争相手になって張りあったり……
正直私1人ならゲームを辞めてたかもしれなかった。
決してゲーム自体がつまらない訳じゃない、だけどゲームの内容よりも私は仲間達と話せるのが好きだった。
「もう上がろうかな?」
そう思っている時だった。
「コロナ〜っ!」
振り返るとそこには手を振るエミルがいた。その両脇にはレミとセンリがいる。
「み、皆…… どうして?」
「どうしてって、ゲームするのに理由が必要?」
「そうじゃないよ、だって皆用事があるって……」
私が尋ねると皆は間を空けて言って来た。
「実家に昔使ってたパソコンがあるから問題ない、ネットワークは京都でも出来る」
「まぁ、明日は父さんと出かけるから…… あんまり長い時間プレイできないけどね」
「アタシも、家族みんな寝ちゃったから…… バレなきゃ良いんだよ、バレなきゃ」
良い訳無いと思うけど……
怪しい笑みを浮かべながら手を振るエミルの隣でレミがため息を零した。
「アンタの将来が本当に心配になるわ」
「何よ、お母さんと同じ事言わないでよ」
「言いたくなるわよ、アンタのお母さんも大変だわ」
「古人曰く『親の心子知らず』」
「ああもう! アタシの人生はアタシのモノなんだから勝手に決めないでよ! それにさっきまで勉強してたわよ!」
「そうだよね、休憩は必要だもんね」
「さっすがコロナ! 話が分かるぅ!」
エミルは私に抱きついて来た。
「コロナ、甘やかしちゃダメよ」
「べ〜だ!」
エミルは思い切り舌を出した。
私は2人を駐在する。
「まぁまぁ、時間が無いんでしょ? ならギルドに行こうよ」
「古人曰く『時は金なり』、時間は大切にするべき」
「全は急げとも言うよ」
「違う、『全』じゃなくて『善』」
「アンタ本当に勉強してたの?」
「うっ、うっさい! さっさと行こうよ!」
エミルは顔を赤くしながら町の方に歩いて行った。レミとセンリもその後を続く。
「やっぱり仲間って良いな」
私はその仲間の後姿を見ながら呟くと仲間達を追いかけた。