ねとげ~たいむ
私達は町に戻ってきた。
星の涙を手に入れた私達は武具店にやって来た。
「それで、どっちがドレスを手に入れるの?」
レミが訪ねて来る。
するとエミルとショコラさんはバツが悪そうに顔を顰めた。
「姉さん?」
「エミル、どうしたの?」
「私…… いいや」
エミルは言って来た。
「だって、アタシだけじゃ倒せなかったし」「そりゃ私だって……」
ショコラさんも口の端を上げて言って来た。
「アンタ、結構やるじゃない」
「そっちこそ」
2人は分かりあっていた。
共通の敵を倒した事で仲間意識が芽生えたんだろう。
確かちょっと前にリメイクされたアニメでやってたな、地球侵略に来た主人公の兄を倒す為にかつて戦った2代目の大魔王と手を組むと言う奴だろう。
とにかく仲良くなって良かった。
「思ったんだけどさ、2人で買えばいいんじゃないかな?」
「「「「「えっ?」」」」」
みんな一斉に私の顔を見た。
「な、何? ゲームってそんなもんじゃないの? このドレス、イベントで手に入れる装備じゃないんだし……」
現実世界なら売り切れもあるだろう、だけどゲームの世界では売り切れなんてそうは無い。
一着で十分なドレスも幾つも買う事が出来る、それを言うと……
「コロナ…… タイミング悪すぎ」
「もう少し早く言ってください」
「えっ? ええっ?」
何か悪い事言った?
レミとホイップ君は呆れてため息を零した。
「………」
センリを見るとセンリも目を細めて無言のまま私を見ていた。
「「コ〜ロ〜ナ〜」」
すっかり息のあったエミルとショコラさんは笑みを浮かべながら私に1つの装備を見せた。
それは上下に分かれたセパレート式の水着だった、おへそ丸出しで胸の部分がホタテガイのようになって下はかなり危ない…… と言うかかなりヤバい角度となっている。
「別にコロナが悪いとは思わないわよ、ただね、もう少し早く言って欲しいなって思った訳よ」
「やっぱりケジメは必要よね〜、大丈夫、これ着てくれるだけで許してあげるから〜」
私はそれを(アバター)着た事を想像すると顔を青くした。
「さよなら!」
私はその場から逃げだした。
するとエミルとショコラさんが追いかけて来た。
「あ、コラ待てぇ――っ!」
「逃げんじゃなわいよ――っ!」
「ふえ〜ん、勘弁して〜っ!」
私は悪くない。
何だか今回は私にとって、メチャクチャ理不尽だった。