ねとげ~たいむ
「地下室って事は上にあがる階段でもあるでしょう、早速探しましょう」
レミが扉を開けると私達は周囲が石で造られた廊下に出た。
地下室も勿論モンスターが現れた。それはゾンビやレイスだけじゃ無かった。
無念の死を遂げた騎士の魂が取り憑いた動く鎧のリビング・アーマー。
死してなお戦い続ける骸骨の剣士、スケルトン・マン。
黒いローブに髑髏の顔、大鎌を武器に死者を冥界へと誘う死神などが私達の前に立ちふさがった。
「シェイクっ!」
『ギャアアッ!』
レミの魔法が炸裂するとモンスターは消滅した。
するとレミは自分のステータスを開くと舌打ちをした。
「なるべくFPは節約しないとね」
「レミ、やっぱり戦闘は避けた方が良いよ」
「そうもいかないでしょう、逃げるのに失敗した時の事を考えなさい」
レミは言う。
このゲームにも『逃げる』と言うコマンドは存在する。
だけど逃げられる確率はフィールドやダンジョンによって極端に変わる。
今回は古びた洋館が舞台なので逃げられる逃げられる確率は圧倒的に低かった。
逃走に失敗するとそのターンは戦闘もスキルも使う事が出来ず、モンスターから攻撃を受けなければならない、よって戦った方がダメージは低かった。
「センリがいれば何とかなったんだけどね……」
「どうしてるかな、2人とも……」
「大丈夫でしょう、まぁエミルは今回大して役に立たないだろうけど」
レミは両手を上げて鼻で笑った。
確かにエミルが『アタシも戦いたい〜』ってダダをこねる姿が目に浮かぶ。
レミ達とパーティを組んで戦ってからほぼ2カ月と少し、大体キャラクターと言うか人間の性格が分かって来た。
エミルは子供だけど自分の決めた事は何が何でもやり通す、だけど頑張りすぎてから周りするタイプ。
センリは口数が少ないってだけで無口って訳じゃ無い、おまけに頭が良くて計算力もある、だけどほんの少し淋しがり屋。
だけどレミだけはまだ全てを理解してなかった。
ちょっと家庭の事情が複雑(?)で怒れば恐いってだけで自分の事はあんまり喋ろうとしなかったからだった。
確かに人に話したくない事は色々ある、私だって恥ずかしい事や辛い事はあんまり話したくない、
全部話したくないならそれでも良い、もし無理に聞けばレミは怒ってパーティ辞めちゃうかもしれないからだ。
そんな事を考えている時だった。
「あっ!」
私達はようやく上にあがる階段を見つけた。
しかし、扉が閉まって出る事が出来なかった。
「参ったわね、鍵がかかってる」
「そんな、どうして?」
「多分イベントか何かじゃない? この洋館内を探索して鍵を探して地下室に降りるってモンだったのよ、聞いてみる?」
レミはセンリ達に連絡する。