ねとげ~たいむ
館のロビーは静まり返っていた。
床は黒と白のタイル、天井にあるシャンデリアは灯りを失い蜘蛛の巣だらけ、目の前にある2階へ続く階段はボロボロになっている。
いかにも何か出てきそうな感じの洋館だった。表じゃすでに出てたけど……
「とりあえずこのフロアじゃモンスターは出て来ないみたいね」
「はぁ、良かった」
どれだけ動いても戦闘にはならない。
とりあえず私は安心する。
「油断はできない、なるべく固まった方が良い?」
「そうだよね、私とエミルじゃレイスは倒せないから……」
だけど倒せない訳じゃない、
魔法属性のある武器さえあれば戦う事が出来る、
だけど私のは相変わらず鋼の剣、エミルはこの前買った鋼のナックルを装備している。
「考えても仕方ないわよ、行きましょう」
「一応私が先頭歩くね」
私が一歩踏み出す、
だけど鈍い音が聞こえると足元の感触が無くなった。
「きゃっ?」
私は悲鳴を上げる。
ゲームでおなじみの落とし穴的な演出なんだろう、私は踏み抜いた床に落ちようとしていた。
「コロナっ!」
するとレミが手を伸ばして私の腕をつかむ、
しかしレミの足元も砕けて一緒に暗闇の中に落ちて行った。
「きゃあああっ!」
「コロナっ、レミぃ!」
エミルの叫び声が響いた。
画面が切り替わる。
さっきまでの木造と違い今度は石を平均に切った壁と床のフロアだった。
ここは地下室か何かだろう、目の前に扉がある。
「あ〜あ、パーティ分かれちゃったね」
「ごめんなさい、私の不注意で」
私はため息を零すレミに頭を下げる。
「仕方ないわよ、あんなの誰にも分からないんだから、それにチャットで会話もできるし」
レミに言われて私は画面右下を見るとテキスト欄にセンリとエミルからメッセージが送られてきた。