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夢日記 虹色

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ああっ!知っている。 ここだったのか! この大通りは、子供の頃に銭湯があった16号線だ。

大通りの手前の右側に、地下に続く影の様なトンネルの入り口が有った。
どこに繋がったトンネルか、本当にそれがトンネルかも見たり聞いたりした訳ではない。
だけれど、それがトンネルである事は、うすうす感じていたのだった。

いつの間にか、一緒にいた友人が先ほどの大きなクレータの様な穴にスコップで土を入れて埋めようとしている。
私も、手を貸すが・・・どうも、私のスコップは柔らかい。
こんな物で、土がすくえるのか思っていたが、何と豆腐をすくう様な感じで土がすくえるのだった。
じつに「サクサク」と、気持ちが良く「あっ」と言う間に穴が埋まってしまったのだった。

何だか、すがすがしい気分で脇に有る丸太で組んだ足場を登りだす。
どういう訳か、何の迷いも無く、私は足場を登ってゆくが、
下では先ほどとは別の友人が、「こっちのが早いよ」と地下に続くトンネルに入って行くのだった。

少しばかり、騙されてしまった様な気がしたが、そのまま足場を登り続けた。
ずいぶん登った様だが、ちっとも疲れを感じる事は無い。
この調子ならば、いくらでも登り続ける事が出来そうな気がした。

程なく、足場を登りきると、そこは高速道路のような所であった。
友人は、とっくに居て下から「ふわふわ」と上がって来るシャボン玉を指で弾こうとしているが、どうも上手く弾けないで居る。

私も弾いてみると割れないで「もわもわ」と大きく膨らんでゆくのだった。
シャボン玉は、そのまま膨らみ続けてよく晴れた青空に昇ると、大きな透明なイカに成った。
先ほどは、ちっとも青くなかった空が、今では少し黒っぽいほど深い青空に変わっていた。

ほかの人は、シャボン玉を上手く弾けないのだが、なぜか僕は簡単に指で弾いて大きなイカにする事が出来るのだった。
それはそれは、凄く大きなイカでまるで飛行船の様な大きさだった。
少し細身な体が「ぶうぉー」っという大きな低い音と共に大きく膨らんでゆく。
身体は透明だったり、青空を透きとおらせたり、身体の中で反射させて色を変えたり凄くきれいだった。
僕は嬉しくて嬉しくて、得意になってシャボン玉を弾く。
何匹にもなった透明の巨大なイカのギョロリとした目玉は僕を見ている。
そして、青空一杯に響く大きな低い声で僕の名前を呼ぶのだった。
だけど、凄く巨大なイカの発する声はあまりに大声で「わぁーん」と、広い空に響いてしまうのだ。

空いっぱいに泳ぐ巨大なイカは、蒼く強い日差しに照らされて透き通った身体を返して虹色に光輝いて綺麗だった。
その巨大イカの、手足は非常に長くてお互いの手足が、絡みそうでヒヤヒヤしてしまった。
さらに、シャボン玉を弾こうとすると、青々と広がる空にヒビが入る様な大きな声で僕の名を呼ぶ声が響く。
耳に酷く大きく響くのだけれど、なぜか心地よくてもっともっと聞きたくなるのだった。

作品名:夢日記 虹色 作家名:角行