小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

夢日記 虹色

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
友人と一緒に、なだらかな坂道を下って行く。
この坂道は、白色の砕石を敷き詰めていて、歩くたびに「じゃりっ、じゃりっ」と音がしてとても気持ちが良い。
普通の角の取れている丸い砂利球ならば歩きやすいのは納得できるが、この道は角が尖った砕石だ。

一踏みする度に、まるで足の裏の当たる部分だけが平たく成っている様子だった。
夏の様な明るく強い日差しを浴び、白い砕石からも強い反射を受けながら歩く。歩く。何処へ歩く。

ずっと砂利道を歩いていても少しも疲れる事も無く、むしろ疲れか取れて楽になってゆくようだった。
普段ならば、それ程気持ちが良いとは感じないと思うのだが・・・なぜか今は違う。
それは、日差しのせいかもしれない。
こんなに太陽の日差しが眩しくて直角なのに、ちっとも辛くないのだから不思議で成らない。
友人が一緒だからなのだろうか?(君はだれだっけ?)

両側には、一風変わった家が立ち並んでいて、見ているだけで楽しくなる。
いったい、ここは何と言う町なのだろうか。
はじめて来た町の様子だが、何度も訪れて居て良く知っている様な安心感さえ感じているのだ。

どの様な安心感を感じるのかと思えば、実に説明しにくいものだ。
たとえば、この先の路地を右に曲がると、乾物屋下駄屋が軒を並べているはずだ。
などと、自分では確信を持っているのだ。 じっさい、今その路地を曲がって見れば、間違いなくそこのあるのだ。

だらだらと下り続ける道の両脇の家を見てみると、すごく不思議な感じを受けるのだった。
外見上は、サイディングボード仕上げの現代的な家が立ち並び、敷地に広さや建屋の大きさも実に立派な物である。
右手の家は、重厚な玄関の造りで、請った彫り物に施された高級チーク材であろう扉を両開きに大きく開けている。
道路から敷地を通り、エントランスまでは道路と同じ様な白い不思議な砕石である。

大きく開かれた玄関には、突然と木製の湯船が有るのだった。靴を脱ぐスペースなどは全く無くその場所には木製湯船が有るのだった。
しかも、有ろう事か湯船には、実に気持ちの良さそうに、白いタオルを頭に巻いた中年女性が浸かっているのだ。
まるで、昔の石原裕次郎や赤木圭一郎の映画に出てくるような古めかしいシーンの様な感じである。

「玄関、開けると2秒でごはん」みたいなCMがあったが、「玄関、開けると2秒でお風呂」なのだ。

往来から丸見えだが、本人は全く気にする様子は無いのである。
もっとも、往来を歩いている者は僕と知り合いなのか分からない2人組みだけである。

それにしても、じつに使いにくそうな家の設計である。
「ただいま〜」と帰宅して重厚な玄関扉を開ける。玄関内は古い楕円形の木製の風呂桶が鎮座している。
取り合えず、玄関を通過して屋内に入るには、着の身着のままでザブザブと入って行くか、
あるいは、全てエントランスで脱衣をし、脱いだ物が濡れない様に油紙などで包み頭に縛り付けて突破する他はないだろう。

清潔といえば清潔である。
家に入る時には、取合えず服を脱ぎ、湯船に浸かってから部屋に入る仕組みだからだ。
もちろん外出の時も同じ工程を進める事になるのであろうから、なかなか面倒な家だ。
それにしても、若いけど古めかしいその女性は往来を気にするふうでも無くごく普通に入浴している。
少し、こっちの方が恥ずかしくなってしまう。
しかし、よく見るとどこか平べったくて、映像を見ているようだ。

なぜ、建物とは裏腹に湯船は昔のままだろうか。
おそらくヒノキで出来た物であろう楕円形の湯船は、ひどく小さく薪で湯を炊いている。
給湯設備とかは無く湯船全体の3分の1ほどが釜に成っていて、その部分からブリキの煙突が、真直ぐに立ち上がっている。
つまり、大昔の湯船のままだ。限られた小さな湯船にボイラーの部分と上がり湯の部分と入浴する部分が上手く一つにまとまっているのだ。
まさしく、日本の得意分野の産物である。

湯船自体もひどく小さいが、釜にくべられている薪は更に小さくて実に画期的な薪だ。

その薪は木材の様な感じなのだけれども、風呂場?玄関?の天井に何重にも折り重なって、はり付いているのだ。
そして薪の先端が、壁に取付けてある漏斗のような物を通って釜に徐々に入って行くのだった。
しかもその薪は、まるでトコロテンの様な感じで、その漏斗の中に「つるつる」と、入り込み燃え盛る釜に入って行くのだった。
そんなに「つるつる」と薪をくべられたらば、きっと自分だったら1分も入って居られない程熱いに違いないと思いながら、
何だか少し心配に見ながら通り過ぎた。
きっと、外見こそ古いが最新式のデーター管理で温度設定が管理されているのだろう。



左手の家も変わっていて、玄関先の部分に黒色のおおきな御影石を敷いて有る。
道路は、白い色なのでその敷地に入る部分でまるで定規を使ったように「キリ」境が出来ているのだ。

その部分に壁は有るのだが屋根は無い。
広々としたエントランスの様な感じがすのだ。明るい日差しが降り注いでいて幸せそうだ。
すごく、幸せそうなのだが、そこの日が当たる部分には、ダイニングセットが有り、家族で食事をとっているのだった。
まるで、テレビドラマを見ている様な雰囲気で、親子4人で団欒をしている。

ソファーやTVやブックスタンドも有るのだが、明らかにそは外なのでる。
そして、壁の部分には大きなオーブンやら冷蔵庫から食洗機やらがはめ込んである。
もちろん、流しも設置されているのだ。
雨が降ったらどうするのだろうと、思いながらもだらだらとだらしの無い白い砕石の坂道を下ってゆく。


左回りに、ゆるく回りながら坂道を下って行く。そうだ。さっきからずっと左回りだったのだ。
きっと、良いことが起きるんだ!と、不思議にわくわくする。

先ほどからどう言うわけか、草花や木々が全く見当たらない。
道も白い砕石の道で相変らず「じゃりじゃり」と、歩く度に響くのだ。
それに、何時もならば透き通るほどの青空なのに、今日はちっとも蒼くない。
なぜか夏の様な明るさなのに、全部白っぽいのだ。

けれども、そんな事も一瞬思っただけですぐに忘れてしまう。(何を?)

坂道を下った突き当たりは、広い大通りに成っているが、手前に大きなクレーターの様な穴が開いている。
どういう訳か子の大きな穴を補修をしなければいけない。
何故かは判らず不思議で成らないが、「まぁ、そんなものか」と、思ってしまうのだった。

大通りには、おかしな形の一輪車の車が「うわん、うわん」と少し上下しながら走っている。
バスというか電車というか、それが何台もつながった芋虫みたいな形の物も走っている。
座席が一人の幅で、車体もその幅しかないので、すごく安定感が無くてちょっと心配である。

一番前の座席には、警察官の様な人が1本式のレバーを握って運転している。
不思議な事に、その人は平たい板の様な人なのだった。
その乗り物が、通り過ぎる時に見た乗客たちも、まるで平たくて漫画の様だった。
(子供の頃にブリキの玩具に書いてある乗客の絵の様なもの)
(夢には、いつもこのタイプの乗り物が出てくる)
作品名:夢日記 虹色 作家名:角行