あの幽霊は今何処に
{八日目 土曜日(午前) 男性は導かれ}
次の日、羽馴さんとの別れの日が訪れた、俺は大学を休んでずっと羽馴さんの事を考えていた。
「羽馴さんは今何処にいるのだろう」
それが今日の口癖になっていた、しばらくして時計を見ると午後になっていた。
「もうこんな時間か」
そう言って立ち上がった瞬間目の前が真っ暗になった。
{八日目 土曜日(午後) bad or happy?}
昨日、男性に成仏する事を告げ、不可視になった後羽馴は涙を流した。
「う……うぁ」
そして羽馴はその場から逃げ去るように走っていった。
そして今日、別れの日、羽馴の頭は働かなかった、ただ思うのはあの男性の事ばかり、数日前に出会って私に大切な事を教えてくれた人の事ばかりだった。
「……よしっ」
男性の部屋の前、羽馴は決意した。
「最後は、笑って別れよう」
こういう時のベタな決意なのだがそれが羽馴にとってこの世界での最後の決意、大切な事だった
可視状態にして羽馴は扉をくぐった。
「……お別れに来ました」
羽馴はできるだけ明るい声でそう言って部屋の中に入った。
「!?」
部屋に入った羽馴が見たのは部屋の真ん中で倒れている男性だった。
「まさか……」
羽馴は男性に近づいた、男性は息をしていなかった。
羽馴が予想していた最悪の事が起きてしまった。
羽馴は急いで男性の体を調べた、男性の体の中には魂はもう無く、成仏していったようだ。
「そんな……!!」
羽馴はは外に出て空を見て言った。
「ごめんなさい、そして待っててください、必ず会いに行きます!」
そう言った羽馴を光が包んだ、成仏をする前触れだ。
成仏する直前、羽馴は呟いた。
「あの人……あの幽霊は……今何処に……」