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リーフライ
リーフライ
novelistID. 45329
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あの幽霊は今何処に

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{一日目 始まりの土曜日}


「……ん……あれ?」
 土曜日の夜中、目が覚めた、しかし体が動かない。
「ん……ぐ……」
(これは……もしかして)
「んぐぐぐん!? (金縛り!?)」
 叫ぼうとしたが口も動かない、怖い、すごく怖いぞこれ。
 唯一動く目で周りを確かめる、右の方に白い光が見えた。
(!? 幽霊か、ゆうれいか~!!)
 パニックになっている俺を更に怖がらせるかのように白い光は俺の上まで移動してきた、もう頭が真っ白だ。
「動けないでしょう……」
 白い光の方向から女性の声が聞こえた、俺の体が縮まった(動けないので多分気のせい)
「うら……」
 白い光が薄れていき徐々に幽霊の姿が浮かび上がってきた。
「うらめしや~」
 お決まりのセリフと共に幽霊が完全に姿を現した。
「う……う……」
 やはり声が出ない、幽霊の姿、髪は黒のロングストレート、少し大きめの目、白い服、そしてなにより
「美しい!!」
 声が出た!!
「え、は……へ?」
 その幽霊、いや女性は目をまん丸にして少し固まった後に消えていった。
「ああ……」
 しばらくして体が動くようになったので水を一杯飲んで寝た、恐怖はもう無かった。




{二日目 失敗の日曜日}


 起きると朝の十時だった。
「少し寝すぎた」
 歯を磨き朝飯を食べて着替えた後に俺は近くの本屋に行った。

「えーと、オカルトは……」
 俺は数冊の幽霊に関する本を買った、それを一日……いや約半日ほどかけて読みきった。
「なるほど……わからん」
 数冊買った本の内容はすべて違う定義が書かれていて何が本当なのかは全然わからなかった。

 そして………………夜!!!!
「よーし!! 寝るぞ!!」
 俺は普段ではありえない九時に布団に入った。

 約ニ時間経過

「……寝れん」
 流石に早すぎたようだ、てかあの幽霊を思い出すと全く寝れない……いや怖いとかじゃなくて。

 それから約一時間後、結局十二時に俺は寝た……はず。



「……う……」
(来た! 来たぞー! 金縛りだー!)
 動く目で近くに置いておいた時計を見る、大体夜中の二時のようだ。
「……うら……うらめし……」
 少し控えめな声がしたあとしばらくの沈黙(もちろん俺は喋れません)
 そして意を決したような大声が部屋に響き、昨日の女性が出てきた。
「うやめしやぁぁぁぁー!!」
「可愛い!!」
 声が出た! いやそれより噛んだ! 可愛い!!
「へえぇぇぇ!!」
 彼女は目をまん丸にして大声を上げて消えていった、しばらくして体が動くようになった瞬間俺は頭を抱えた。
「失敗したぁぁぁぁぁ!!」





{三日目 緊張の月曜日}

 一昨日の夜、私はいつものように人を驚かそうとした、今日のターゲットは一人暮らしの男性だ。
(ターゲットにする基準は一人暮らし、近くにいる一人暮らししか狙わない)
 いつものように金縛りにした、いつものように怖がるのが面白くてたまらなかった。
 もうひと押し、そう思って姿を見えるようにしてお決まりの言葉(怖がってる人には定番が効果抜群)
「うらめしや~」
 そう言うと男性は目を見開いて呻き声のようなものを出していた。
 これは怖がってる、面白い、そう思って控えめに笑った(本気で笑うと失神してしまう人がいる)
 男性は少しの間固まった後に口を開いた。
「美しい!!」
「え、は……へ?」
 私は意味が分からず姿を見えなくして部屋から立ち去った。

 昨日も同じような結果となり、月曜日、三度目の正直だ。
「今回こそ驚かせる!」
 私は誰にも聞こえない大声で決意を固めて夜を待った。


 夜中の二時、私はあの男性の部屋を除いた、ぐっすり寝ているようだ。
「えーと……えい!」
 私は男性に金縛りをかけた、男性の目がすぐ開いた。
「こんにちは」
 私が口を開く前に男性が口を開いた、この人の口に金縛りは何故か効かないようだ。
 私は驚かせるために用意した顔(主に血ノリ等を想像してつけた)を男性の目の前に顔を突き出した。
「…………」
 男性は目をまん丸にして言葉を失った、成功か。
「ふふ、ははははは」
 少しの間の後男性は思いっきり笑い出した、私はついムキになって叫んだ。
「何がおかしいんですか!」
「な、何がって……その顔……なんなの」
 確かに鏡には薄らとしか映らないので大体でやったがそんなにおかしかったのだろうか。
「な、な」
 今回も失敗した、一旦退避することにした。
「待って!!」
 部屋から出ていこうとした私は手に何かがすり抜ける感覚を感じた。
 後ろを振り向くと男性が私の手を掴もうとしていた。
「えっと……」
 私は言葉を失った、まだ金縛りは解いていないはずなのに……
「あの、お名前を」
 私は真っ白になった頭で自然に答えていた。
「えと……羽馴……麗華」
「羽馴さん、ですか」
「えと、それじゃ!」
 私は頭が回らないままその部屋を出た。









{四日目 意地の火曜日}

 翌日私はあることに気づいた。
「昼に出ればいいじゃない」
 そう、幽霊は夜に出るというのはただ最初の光が見えやすいからだけのこと、いつ出ても気づかれさえすればいい。
「よぉーし、怖がらす!」
 誰にも聞こえないので大声を出して決意を固める、ここまで来たら意地でも驚かしてやる。
 流石に大勢の中出るのは気が引けるので男性をつけてみる事にした。
「ありがとうございましたー」
 男性は単位制の大学に通っているようだった、今日は休みにしてコンビニでバイトをしているようだ。
 その後も男性の後について買い物、そしてようやく男性は家に帰った、いよいよだ。
 私は不可視の状態でテレビを見ている男性の目の前に立った、大きく息を吸い込み可視状態にすると共に大声をだした。
「わー!!」
 間違えた! これじゃあ{怖がらす}じゃなくて{驚かす}だ、完全なるミス!!
 今までのように少しは固まるかと思っていた男性は目を輝かせて……
「ひっ」
 また大声を出されるかと思って咄嗟に身構えた(触れられないので意味はないんだけど)
 しかし男性は大声を出さず落ち着いた声でこう言った。
「こんにちは、羽馴さん」
 大声で元気な男性しか見たことなかった私はその落ち着いた優しい声に少しドキっとしてしまった。
(いやいや、騙されるな)
 心の中で一瞬現れたその感情を一瞬で消した。
「えっと……こんにちは」
 とりあえず返事をした、男性はテレビを消した。
「あの、どうぞ」
 そう言って男性は横に置いてあった椅子をこちらに差し出した、とり合えず座った。
「えっと、幽霊……ですよね」
 男性はその落ち着いた声のまま私に話しかけてきた。
「はい、幽霊です」
「その、質問していいですか?」
「……」
 私は口を閉じた、人から珍しい好奇心の目で見られるのはあまり心地の良い事では無い。
 少し黙っていた私の気持ちに気づいたのか男性が口を開いた。
「あっ違うから、好奇心とかじゃなくて……いや好奇心だけどまた違うっていうか……」
「ふふ」
 慌てて混乱している男性が面白くて私は笑ってしまった、すると男性は動きを止めて私の方向を見た。
作品名:あの幽霊は今何処に 作家名:リーフライ