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一之瀬 優斗
一之瀬 優斗
novelistID. 28513
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破滅姫のコイゴコロ。

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それから一週間後。
山田部長と鈴木部長がことあるごとに諍いを起こし、揉めに揉め、天使課と悪魔課の空気が最悪になりきったところで、僕は死神課に呼び戻された。
「おかえり、破滅姫」
夕暮れのカフェテリアで、ニヤニヤと笑いながら頭を撫でてくる斎藤の手に、壮絶嫌な顔をつくって睨みあげる。
「変な呼び方すんな、バカ」
「いやあ、見事な手腕だったなあ、お姫様。おかげで、予想よりもだいぶ早いご帰還だ」
「うっさい」
「お前に激甘なうちの部長様な、お前のこと褒め称えてたぞ。死神としての魅力と資質が素晴らしいってよ」
「そりゃどうも」
死神のスペック的には、相手を夢中にさせて魂が向こうから飛び込んでくることが理想とされている。が。
思わず溜息が漏れる。
「無駄打ちしてもね…」
「え?」
「なんでもない。僕、もう帰るから」
斎藤は、僕の腕を掴んで、腕時計をのぞき込んだ。
「は?もうそんな時間?じゃあ俺も帰る。ちょっと待ってろ」
「なんでだよ」
「お姫様お帰りなさいの会開催。飯、おごってやるよ」
機嫌良く笑った斎藤は、ぽふぽふと僕の頭を撫でてから、長い足を大きくスライドさせて、カフェテリアを出ていった。
「……一応、僕の都合とか、予定とか、聞けよ」
言いながら、思わず緩んでしまった頬をぐいぐいひっぱって、大きく息を吐きながら机に突っ伏した。
「ひまつぶしとしてはまあまあ楽しかったけど、でもなあ」
思った通りの反応が返ってこないことが気に入らない。
誰にどれだけ褒められたって、全然意味がない。
「死神の魅力って、死神には通じないのかな…」
(それって、結局もちぐされじゃん)
バカバカしいと呟いて、くったりと目を閉じた。