再会
「まだよ。これから三箇月後に結婚することになっているのよ」
「そういうことなら、明日の結婚式はとりやめにするよ」
「嬉しい。十年待った甲斐があったわ」
ふたりは同時に笑顔になり、凝視め合った。
「翔子ちゃんも婚約を破棄してくれるんだね?」
「勿論よ。ねえ、どこかでお酒を飲みましょうよ」
「そうだね。そうしよう……しかし、ここで再会しなかったら、つまらない人生になっただろうな」
ふたりは立ち上がった。
「ボール半個分よ。ほんの僅かラインからボールが出ていたら、負け試合になったのね」
「ぼくの最後の試合のようにね」
了