再会
再会
明日は結婚式という日の夕暮れに、今井和樹は浅村祥子といつも待ち合わせをしたカフェに立ち寄った。そこで偶然彼女と再会した。祥子はそのカフェに一人で居て、泣いていた。今井はほかにあいている席がなかったので、彼女に相席を頼んだ。
「今井さん……」
翔子は日焼けした顔を上げた。
「まずいかな?」
翔子は慌ててハンカチをまぶたにあて、涙を拭ったが、すぐに新しい涙が溢れ出た。
「いいけど……」
「何年ぶりだろう。あっ、ぼくはコーヒーをお願いします。合計二杯です」
後半は近づいてきて「いらっしゃいませ」と云ったウェイトレスに向かって云った。ウェイトレスは祥子のからになっているコーヒーカップを下げた。
「どうしたの?」
「……母を思い出したの」
翔子はもうすぐ三十歳になるだろうと、今井は思った。彼のほうは三十二になったばかりだった。祥子の母は三年前に交通事故に遭って亡くなっていた。
翔子はその事実について語ってから云い足した。
「母はいつもあなたのことを心配してたのよ」
「ぼくも翔子ちゃんのお母さんが大好きだったよ。近いうちにお墓参りをさせてもらうよ」