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２　ＧＯＳＳＩＰ＆Ｌｏｌｉｔａ

２　ＧＯＳＳＩＰ＆Ｌｏｌｉｔａ　

　エド達がジュロメに向かった日。
　最初の授業を終えたキャシーとリュリュはすっかり打ち解けていた。
　キャシーは最初こそ緊張していたものの、リュリュがしきりに生徒として扱って欲しいというので、試しに一度呼び捨てにしてみたところ、リュリュが「はい、お師匠様。」と返事をしたことに気を良くして、そこから一気に打ち解けていったのだった。
　そういった経緯もあり、せっかく仲良くなったのだからと、授業の後に甘いものでも食べようということになった二人は、アミサガンの街へと繰り出した。
　二人はリュリュの行きつけの店でお茶を飲んだ後で、思いもかけない場所で見知った顔を二つ見つけた。
　一人は眉をしかめて不機嫌そうな青色の髪をしたメガネの青年。
　もう一人は胸と身長の大きなボブカットの女性だった。
「むむ・・・これは意外な組み合わせじゃ・・・。」
「そうね、ユリウスとソフィアなんて、本当に意外だわ。少なくとも今までは見かけたことはない組み合わせよ。」
　リュリュとキャシーは二人に見つからないように建物の影からこっそりと様子を伺う。
　二人が普通にしているのなら普通に合流することも考えたのだが、二人共落ち着かない様子で当たりを見回して、人目を忍んでいるふしがある。さらには、変装のつもりなのかユリウスはメガネを外しているのだ。
　二人はしばらくベンチに座ってそわそわしていたが、ソフィアが突然何かを耳打ちし、ユリウスの足元で四つん這いになって周りを回り出した。
「え、何、そういうプレイなの？二人はそういう趣味があるの？」
　ソフィアの様子を見たキャシーはショックを受けながらつぶやく。
「むぅ、お師匠。プレイとはなんじゃ？」
　思わぬ所に食いついたリュリュの言葉に、キャシーは一瞬どうしたものかと考えたが、やがて意を決したように「これも大人になるための授業だ」と自分に言い聞かせるようにつぶやいてから、言葉を選んで説明をはじめた。
「ぷ、プレイっていうのはその・・・ユリウスが女の人を、ああやって四つん這いにして、自分の周りを回らせることに情熱を傾ける人だっていうこと・・・かしら。」
「むぅ、それは女性は楽しいのですか。」
「そういうのが好きな人もいるって言うし。考えてみればレオとソフィアの関係ってああいう感じよね。・・・ってことは浮気？ご主人様のレオがいない間に、ソフィアはより若く、鬼畜なご主人様に浮気してるってことね！」
「お・・お師匠？大丈夫ですか？なんだか鼻息が荒いようですが。」
「あ、ああ、ごめんなさい。あまりのことに取り乱しちゃったわ。」
　しばらくそのまま回っていたソフィアは、唐突に立ち上がると、ユリウスに覆いかぶさるようにして、顔を近づけていった。
「うっわ、した。キスした。アレ絶対キスした。」
「む・・ぅ。よ、よく見えないですのじゃ。」
　やがて、２，３言葉をかわすと、ソフィアはユリウスの側から離れ、上機嫌で去っていった。
　一方のユリウスはメガネを掛けて、何事もなかったかのようにそのままベンチで本を読み始めている。
「これは・・・ゴシップの匂いがするわ。」
「しますのじゃ。アンジェの部屋の枕の下に置いてあった本に書いてあった話と似てますのじゃ！」
「あ、アンジェリカさんそういうの読むんだ。意外・・・。じゃなくて、これは明日も調査を続行しましょう。こんな面白・・・いえ、風紀の乱れを放っておくのは良くないもの。」
「そうですのじゃ、こんなおも・・・風紀の乱れ、放っておくわけにはいきませんのじゃ。」
　そう言って二人はキャッキャと笑いながら城へと戻っていった。
　そう、この日の帰りは二人共まだ幸せだった。