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DESTINY BREAKER 一章 4

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子供の頃はみんな同じだと思っていた。
「明日の運動会は晴れるよ。」
「明日は雨が降るから遠足にはいけないよ。」
「明日は小林君が風邪で休みだよ。」
「明日の体育の時間に佐藤さんが足を怪我するよ。」
ただ漠然とそうなると思った。
そして、そうなった。
自分にとって『当たり前』のことだから
みんなにとっても『当たり前』のことだと思っていた。
『未来を感じてしまう力』
意識していなくてもどこからかきこえてくる声(うたごえ)
近々起こることを告げているようにきこえる声(うたごえ)
はっきり告げているわけではないのに自分には、それがなんとなく理解できた。
風が唄うんだ。未だ見ぬ空を
森が唄うんだ。未だ見ぬ風景を
大地が唄うんだ。未だ見ぬ誕生を
声(うたごえ)は私に起こりうる未来を想像させた。
だけど私自身のことはわからなかった。
きっとみんなもそうなのだと思った。
きっとみんなも自分自身のことがわからないのだと思った。
だからみんなにこれからどんなことが起きるか教えてあげた。
最初はみんな笑っていた。
でも、すぐにそれらは起こった。
そうしたらみんなが私を怖がるようになった。
そこで初めて気が付いた。
なんで怖がるのか、なんでそんな目で見るのか。
簡単なことだった。
私にとって『当たり前』のことは
みんなにとって『当たり前』のことじゃなかった。
ただそれだけのことだった。
みんなが私を避けるようになった。私と遊んでくれなくなった。


『キモチワルイ』
誰かが私に言った。
『ノロワレテル』
みんなが私に言った。
『コイツトイルト、シンジャウンダゼ』


世界が私に言った。
『オヤガイナイノモ、キットコイツガ《コロシタ》ンダヨ』


怖かった、ただ全てが怖くて、泣くことも許されない。
私は私にこんな力を与えた神というものを恨んだ。
力のせいだ。
みんなが怖がるのは力のせいだ。
全部、力(コイツ)が悪いんだ。
こんな私を存在させている世界を憎んだ。
なにより私は私自身を嫌った。

このことは誰にも相談できなかった。
何より相談したら失ってしまう恐怖があった。
「私の近くにいたら死んじゃうんだよ。」
そんなことを言って近くにいる人がいるだろうか。
きっといない。みんな離れていく。私は不幸そのものなのだ。
だから私は独りで闇を抱え込んだ。

それでも唄はきこえてきた。
作品名:DESTINY BREAKER 一章 4 作家名:翡翠翠