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キラーマシンガール 後編

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 コンコンコン
 あの事件から三日が経過した日の夜、僕は扉を叩く音で目が覚めた。先日の襲撃が頭をよぎり、僕はすぐさま身構えた。
 「唯史さん。わたしです」
 「白雪?」
 「外から病室の電気がついてるのが見えたから……こんな時間にすいません」
 「ああ、付けっ放しで寝ちゃってたみたいだ」
 「起こしてしまいましたか……?すいません」
 「大丈夫だよ。入って入って」
 「はい、失礼します」
 ドアを開け、白雪はいつもの椅子に腰掛けた。
 「どうしたの?こんな時間に」
 「いや、大した用事はないんですけど。唯史さんが起きてるって思ったから、なんとなく」
 「そっか」
 窓の外の月を眺めながら相槌を打っていると、突然大腿の辺りに重みを感じた。驚いて確認するとその正体は白雪の頭だった。
 「白雪?」
 「すいませんいきなり。今日はちょっと疲れてしまって……少しだけこうさせてもらえませんか」
 白雪の声は震えていた。
 「白雪……どうしたんだよ」
 やがて、シーツに押し付けられた白雪の口から込み上げる嗚咽を押し殺すような声が聞こえてきた。白雪は泣いていた。耳を澄ましても聞こえない程のかすかな声で。
 僕はそっと彼女の頭を撫でた。それ以外何をすればいいか分からなかった。
 彼女の嗚咽が静かな寝息に変わったのはもう日が昇ってからのことだった。