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「舞台裏の仲間たち」 76・最終回

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 「私をはるかに超えて、すっかりいい女になったわね、茜。
 もうお姉ちゃんの背中から離れて、大好きな人へところへお嫁にお行き。
 輝いているあなたを見ているだけで、私の胸がつまっちゃった。
 いい本とめぐりあえたわね、
 本読みを聞いているだけで、涙が出そうだったもの・・・・
 私の心配なんかはもうやめて、あんたはは自分の道をあるいておくれ。
 心配ばかりかけちゃったわね、あんたには。
 あんたも、もう、幸せにおなり。
 はい、石川さん、茜をお渡します。
 後は、よろしくお願いします」
 
 「お姉ちゃん・・・・」

 我に返った西口が、思い出したように手を叩き始めました。
茜の顔を正面から見つめて、今度はさらに強い力を込めて叩きます。
つられて小山君も手を叩き始めました。


 「茜ちゃん。
 この稽古場は、俺たちのあたらしい公演場所に決まったぞ。
 決まったからには、俺たちが総力を挙げて、
 あっと言わせるような、ものすごい黒光の舞台装置を作りあげて見せる。
 小生意気にも、俺たち舞台装置のプロに挑んできた
 順平君の挑戦にも、真っ向から応えて見せると、
 先ほど、担当主任の・・・・この小山君が言っておりました」

 「俺かよっ」


 苦笑する小山君の肩を叩きながら、西口が大きな声で笑います。

 「順平君。
 黒光は、きっと面白い舞台になる。
 さっき、少しだけだが、茜が最後の独白を読んでいたときに、
 俺は背中に微弱な電流を感じた・・・・
 きっとこれはうまくいく、そんな予兆を肌で感じた!
 知恵と創意で、君の言う、光と色だけの舞台装置とやらを、
 作り出してみょうじゃないか。
 挑戦し甲斐のあるテーマ―だし、頑張る甲斐もあるようだ。
 又一人、貴重な戦力が増えたことに俺は劇団を代表して心から歓迎をする。
 ようこそ、我が劇団へ順平くん」


 西口が順平の前にたつと、武骨に大きな手を差し出しました。
順平が、がっちりと握り返すと、西口も嬉しそうに目を細めています。