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「舞台裏の仲間たち」 74~75

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「寒そうな風をして居るから、どうしたのだと聞いたら
『「女」に剥(は)がれちゃったのサ』。見ると、着て居る物を
すっかり脱いでしまって、「女」に着せてあるです」



 碌山はチョッキ、ズボン、夜具、さらには米俵まで製作中の
「女」に掛けて、粘土の凍結を防いでいました。
それほどまでに「女」は、碌山にとって、大切な作品そのものといえました。
命がけ・・・・まさに「女」は、命がけの制作そのものなのです。

 この制作には、モデルを雇っています。
名前は、岡田みどりと言い、明治の末から大正期にかけて
洋画界と日本画界ともに、たいへんな人気を博していた素人モデルです。
身長は、五尺三寸(約160cm強)と記録されています。
明治末の当時としては、すらりとしていて大変グラマラスな肢体の持ち主です。


 この当時から、美術学校へ頻繁に出入りしていた人気モデルです。
しかし、彼女は本職のモデルではなく、あくまでも“アルバイト”として
モデルをつとめていました。
新宿駅の近くに家があって暮らしていたために、付近に住んでいた碌山から、
新年早々にモデルを頼まれました。
当時は、ヌードも辞さず絵のモデルになってくれる女性は、
それほど多くもありません。
しかも、岡田みどりは一級と称される売れっ子モデルです。