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フレイスト 第一話

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最終章 ~波動吸収(フレイズバスター)~


                            7月2日 pm6:45
 疲れた体で走ってきて、やっと学校の寮についた。門の前には寮監が怖い目つきでこっちを見ていた。普段なら完全に怯えきってるのだが、今はそんなことは気にしてられない。
「こら、古峰。下校時刻をとっくに過ぎてるぞ。お前どこ行ってたんだ。」
「すいません。でも、今それどころじゃないんです。」
「それどころじゃないとはどういう・・・お前、後ろにしょってる子誰だ。」
「説明してる暇はないから、通してください。早く治療してもらわないとかなりまずいんです。」
 そう言って、寮内の病院まで走っていった。

 あれから、数時間が経過した。治療は成功し、ベッドに寝ている。古峰は、喜びと同時に、相手は俺のことを知らないわけだから、相手はここに来た理由もわからずにどこかに出て行ってしまうだろう、という悲しみに近い気持ちもあった。
「・・・うっ。」
 僅かに声が聞こえた。古峰は急いで彼女を見てみた。
「うっ、あれ?ここどこ?」
 元気そうな声と共に彼女の目が開いた。古峰は、その瞬間心の重荷が落ちたかのように、気持ちが楽になった。
「ああ、ここは病院さ。・・・といっても、学校の中だけど。」
「あ、あなたは・・・」
 やっぱり、分からないかと何故か心の中でため息が出た。
「さっき、裏路地で助けてくれたよね?」
 えっ、とあまりの驚きについ言葉が漏れてしまった。
「あれ、違った?ごめんなさい、人違いだったみたい。」
「いえ、僕であってるよ。つい、驚いちゃって・・・」
「?」と彼女が首をかしげる。
「いや、なんでもない。それより体大丈夫?」
「あっ、うん、大丈夫だよ。そうだまだお礼言ってなかった。さっきは助けてくれてありがとうね。」
「あぁ、うん。そういえば君は、なんで追われてたの。あっ、嫌だったら黙ってていいよ。」
「君って言うのやめてよね。私には、風崎香織(かざきかおり)って名前があるの。」
「じゃあ、風崎さん・・・」
「香織って呼んでよね。君は・・・」
「ああ、俺は古峰徹。よろしくな。」
「うん、よろしくね、徹!」
 結局追われてる理由は聞かなかった。いや、聞けなかった。ただ、彼女は通ってる学校がないので、寮監に頼んで入れてもらうことにした。寮の部屋は、俺と同じ部屋に来ることになった。一人で寂しかったからちょうどいいだろう。香織はとても明るく話しているが、追われたりして大変なんだと思うと、心が痛くなる。それを胸の中に隠して、接しようと思っている。
「それじゃあ、おやすみ。」
作品名:フレイスト 第一話 作家名:山瀬了