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「舞台裏の仲間たち」 62~63

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 「私は、全面的に時絵さんに協力をします。
 時絵さんの大ファンだし、どんな事情があるにせよ協力を惜しみません。
 でも、ほんの一瞬だけだったと言うときめきの意味が、気にかかります。
 誰かのためにひと肌を脱いでほしいという意味ならば、
 もっと喜んで、私は協力をします」

 「ありがとうレイコちゃん。
 で、どう出るのかしら順平君は、武士に二言があるかしら?」

 すこしだけ意地悪そうな時絵ママの視線が、チラリと順平を見つめます。
レイコはとぼけて頬杖をついたまま、順平と時絵ママを交互に見て
二人のやりとりなどを楽しんでいます。
 
 「解りました。
 全部の話を伺いますので、すべて話をしてください。
 全面的に協力をしろという意味と、他
 言無用という2つの意味があるわけですね。
 それもすべて承知をしましたので、安心してください。
 では、本当の良い話と悪い話をそれぞれにお聞きしたいと思います」

 時絵ママがにこりと笑い、順平の緒子へなみなみと日本酒を注ぎたします。
レイコが手招きをすると、カウンターを一回りした時絵ママが
レイコが空けた席に腰をおろしました。
 
 「レイコちゃんと順平くんには、私の本心から先に話しましょうね。
 確かに座長からプロポーズをされて、女としては一瞬だけは
 ときめきましたが私には、座長と結婚する意志はありません。
 ただしその場では応えずに、一週間だけ考える時間をくださいと
 お答えをしておきました。
 レイコちゃんだけは知っていますが、
 私には5歳になる男の子がいます。
 この子が私の生きがいで、今の私はこの子のためにだけ
 生きていると言っても過言ではありません。
 別に皆さんにまで秘密にする必要はありませんでしたが、
 たまたま水商売ですので、レイコちゃんには口止めをお願いしていました。
 なでしこ保育園にお願いしていますので、
 もしかしたら、順平君は、それとは知らずに
 行き会っているかもしれません」

 「では、その良い話の結論というのは・・・・もしかして」

 「そう。
 その、もしかしたらの相手は、ちずるです。
 座長と復縁をするのは私ではなく、そのちずるです。
 しかし悪い事に、座長には残された時間があまりないようです。
 実は、ここから先がもうひとつの悪い話です。
 つい先日の精密検査で、座長には不治の病が見つかりました。
 たまたま体調を崩した時に、念のためにと血液検査までおこなった結果、
 その病気が見つかったそうです・・・・」
 
 レイコと順平の視線が凍りついたまま、時絵ママの口元に引き寄せられます。