コメディ・ラブ
大逆転
今日は小学校でロケだ。
ロケの世話をするのも後1週間。
映画もクライマックスに差し掛かってきている。
映画が公開されたら、小学校に観光客がばんばん押し寄せそうだな。
見学通路を確保するため、看板でも立てるかと考えていたとき、それは起こった。
「おい、美香。俺に見とれてんのか」
晃さんが校舎にいる美香に大声で叫ぶ。
あははっ、晃さんらしいなって
美香……って言った今?
俺は驚いて持っていたカメラを地面に落とした。
晃さん、いつの間に美香のこと呼び捨てで呼ぶようになったんだろう。
嫌な予感が胸をしめつける。
美香は負け試合を戦ってたはずなのに……
しかし、そんな心配はすぐになくなった。
現場が急に騒がしくなり、俺も野次馬根性で見に行く。
何だ?何だ?
あっ、優海ちゃんが晃さんの腕を持ったまま泣いてる……
「やっぱりあの二人……」
「お似合いだと思うけど、泣かせちゃうなんて」
「晃さん、手が早い」
周りのスタッフ達が口々に言う。
俺はその様子をみて安心した。
やっぱりそうだよな。
人間には合う、合わないがある。
俺はふと美香が気になった。
校舎を見ると、さっきまで見ていたはずの美香がいない。
俺は校舎に向かって走り出した。
作品名:コメディ・ラブ 作家名:sakurasakuko