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コメディ・ラブ

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見栄張る




まだ成長しきってないスイカが一つ一つ大事そうに藁の上に置かれている。

広大なスイカ畑の隅っこでパイプ椅子に腰かけ新聞を読んでいると、スタッフが3分おきに話しかけに来る。

「優海さん、今日は来てくれますかね?」

俺はその都度優しい笑顔で答えるようにしている。

「大丈夫。優海ちゃんを信じよう」

その都度スタッフが安堵の表情を見せるが、俺の足の貧乏ゆすりが止まらない。

集合時間まであと5分を切った時、優海ちゃんが来た。

スタッフ達の目の前で深々と頭を下げた。

「おはようございます。皆様ご迷惑おかけしてすいませんでした。」

皆、拍手をして喜んでいた。

優海ちゃんが幹部スタッフに連れられ、監督の所に挨拶しに行った。

それ以外のスタッフ達がどんどん俺の所に集まって来る。

「晃さんさすがです」

違う。俺じゃない。

「晃さんって男前です!」

おいやめろ。解決したのは俺ではない。そんなに褒め称えるな。

「やっぱり晃さんは無敵です」

どうしよう。

「さすがです!男として尊敬します!」

俺はとうとう我慢できず、言ってやった。

「……まぁね。俺にはできないことはない!」

課長が口を大きく開けたまま俺を見ているが、知らねえ。

少しくらいいいだろう!



太陽が沈み、うっすらと星が姿を表し始めてきた。

6月とは思えない昼間の暑さを日が暮れてもまだ少し引きずっている。

「暑い」

首に巻いたタオルで額の汗をぬぐう。

鍬を土の塊に振りおろす。

塊はびくともしなかった。

こういう時ばかりは男に生まれてきたかった。

そういえば、優海ちゃんだったかな。

今日ちゃんと仕事に行っただろうか。

それにしてもどうしてこんなに女って馬鹿ばっかりなんだろう。

再び、鍬を思いっきり振り下ろすと、固い土が見事に割れた。

思わず息を大きく吐いた。

その時、「美香先生」と聞き覚えのある声が聞こえた。






作品名:コメディ・ラブ 作家名:sakurasakuko