コメディ・ラブ
頑張れ俺
畳を歩くたびミシッと不快な音が鳴る。部屋中に漂う湿った空気。
俺は下積み時代に住んでいた家賃8000円の部屋を思い出した。
懐かしいな。あの頃は金はなかったけど……って危ない危ない。あの貧乏時代を感慨深く思い出す所だった。
「この村にはここしか宿泊施設がないんです。晃さん一か月の辛抱です」
義信が埃にせきこみながら窓を開ける
「一ヶ月の我慢だ。そうすれば東京に、俺の街に戻れる」。
「そうですよ」
義信が相槌を打つ。
俺ははカレンダーの6月1日の欄に思いっきり×を付ける。
そして、6月30日の所に花丸をつける。
「頑張れ俺」
自分で自分を励ました。
作品名:コメディ・ラブ 作家名:sakurasakuko