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University to GUARD 第2章

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「開けているとはいえ、ここにSF-1を着陸させることは非常に困難ですよ。あれは垂直下降や上昇はできません」
「同期させてからが問題か。同期させた直後にフックを下させてそれに飛び移るか」
「そんな無茶な、最低速度で飛行させようにもあれの最低飛行速度は時速二百キロですよ」
「なに、そのためにお前がいるんだろう。精密操作は任せるフックが見えたら後は俺に任せろ」
「まったく」
 徐々に木々や植物が密集するジャングル地帯から風景が変わり始め、木々が減ったおかげで見晴らしの効く場所へと出てきた。大地は相変わらずのぬかるみだが、植物は腰の高さあたりまでしかなく、ところこどころに岩肌が目立つ程度である。もう少しで指定された座標近くだった。右手に川が見え始めている。幅は指すがジャングル地帯というべきか、なかなかの広い。
「止まってください。レーダーに反応あり」
 自分たちの前方に数体、いや数十体の何かがいる。
「妙ですね。金属反応、熱源反応はあるんですけど、振動解析から見るに人がいるわけではなさそうです」
 その何かへと距離を詰めていく。遠くにすっと立ち上がるようにその何かが動いた。まるで軍隊のように、マップに反応の出ている場所からその何かが頭を出し、立ちあがった。
「アーマノイドのようですが、人が乗っている気配がありません」
「そんな馬鹿な。無人で動くアーマノイドなど聞いたことがないぞ」
「だとすれば高性能なアンドロイドでしょうか。あの事件以来、開発が止まったと聞いていましたが」
「俺の勘は奴らを敵だと認識しているが、どうだ」
 フォックス1はそっとフォックス4をおろすと身構えた。じりじりとその何かはこちらへ向かってくる。
「識別信号もなければ、登録情報も無い。少なくとも正規のものではありませんね」
「充分だ。嵌められたな、俺たちは。前には敵性のアーマノイドが十体か。SF-1到着までは」
「十分そこそこです」
「持ち堪えるしかないか。来るぞ!」
 何か達が一斉にフォックス1へと跳躍した。
「所詮、無人か」
 飛びかかるアーマノイドを捌きつつ、フォックス1は一体を仕留めた。フォックス4の援護によって、HUDに襲い掛かるアーマノイドの行動パターンが“数秒後の姿”として表示されているのだ。
「これなら問題ないか」
 サイドアームの兵装である槍を振り回し、フォックス1は残りの九体と立ちまわっていた。
「出力容量がもう少しあれば専攻を生かせるんだがな」
「仕方ないですね」
 二体目を仕留めた時だった。
「どうした、同期が悪いぞ」
「すみません、どうやら出力表示を先のハッキングでいじられてたみたいです……」
「なに!」
 みるみる内にファックス1のHUDに表示されていた様々なウィンドウが消えていく。
「お前、まさかもう容量が尽きて」
「みたいです、すみません」
 言い終わる前にフォックス4が<unistallation>の電子音声と共に、アーマノイドを解除されていく。今、この場で生身の人間に戻るということがどういうことか二人は十二分に分かっていた。フォックス1よりも先に、敵のアーマノイドがフォックス4の前に立ちはだかった。胸倉をつかみ、拳を振り上げている。
「やめろ!」
 目が奪われた瞬間、残りのアーマノイドの一体がフォックス1の腰にまとわりつき、瞬く間に全身を羽交い絞めにされた。振り下ろされた拳は瞬時にしてフォックス4の頭蓋を叩き割っていた。フォックス1はリンチよろしく、四体によって羽交い絞めにされ、全身をひたすら殴打されていた。全身の耐久値が着実に低下していく。
「くそっ……一体何なんだ。俺たちは何のためにっ」
 耐久値がゼロになった。<unistallation>。アーマノイドを強制解除されたフォックス1へと敵は容赦なく拳を振り下ろした。

「どうやら殲滅されたみたいですよ」
 SF-1と書かれたフォルムの鋭い戦闘機にしがみ付いていたアーマノイドをつけた男は言った。
「しっかし、不細工な戦闘行動ですね。もっとAIを洗練させた方がいいのでは、ボス」
 ボスと呼ばれた男は低く笑いながら言った。
「それはうちの学生が頑張ってくれるさ。まずは無人で稼働できただけでも御の字だ」
「なるほど、それじゃあ帰還しますわ」
 SF-1はスムーズに旋回すると元来た空路を、超高速という名に恥じないだけの速度でもって空を駆け抜けていった。

「ファーストステップは成功した。セカンドへと移ろう」
作品名:University to GUARD 第2章 作家名:細心 優一