小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「舞台裏の仲間たち」 55~56

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 


 「それにしても、すごい宝石と財宝たちだ。
 よくぞ、これだけの文化財を持ちだしてきたもんだなぁ、
 スケールが違うね」

 「中国4000年の財宝がぎっしると集められているんだもの、
 ひとつずつ鑑賞をしていたら、館内を回るだけでも
 たっぷり2~3日はかかるわ。
 小物たちはざっと眺めるだけにしておいて、とっとと、本命の
 白菜と豚の角煮を見にいきましょう」
 
 今日も薄いTシャツに、ホットパンツという格好の貞園は、
周囲の目を気にしながらも、それでもお上品に私の右腕に
ぶら下がっています。
さすがに、中国4000年の歴史の前ではいつものように
イチャイチャしている場合ではないわ、などと貞園が笑っています。


 たしかに此処に展示してあるものは、
中国4000年にわたる、貴重な歴史的遺物たちばかりです。
それらの貴重な品々が、本来の中国ではなく台湾にあるというのは、
かつての中国と台湾の歴史に深く関係をしています。

 1949年、国共内戦で蒋介石が率いる国民政府が
敗れて、この台湾の地に逃れてきました。
そのときに、北京の故宮博物院から約60万点におよぶ
所蔵品を台湾へ運び出し、それらを一時的に台湾の各地で保管をします。
1965年、各地に散らばっていたこれらの所蔵品を台北の士林に集め、
国立故宮博物院を建設し所蔵をしました。


 現在中国にも故宮博物院がありますが、こちらに所蔵されていた多く
の所蔵物は、文化大革命の時にほとんど失われています。
ゆえに「故宮博物院」という名の博物館が、中国と台湾に2つあるのです。

 貞園が途中から、各部屋の見学をパスしはじめました。
一目散に、白菜と豚の角煮が展示されている部屋を目指し始めます。
この二つは、故宮博物院を代表する宝石の彫刻です。

 【翠玉白菜】は、白菜の形をした宝石で、
眺めれば眺めるほどその白さに圧倒をされてしまいます。
白菜の上にとまっている虫は、かつては二匹のキリギリスだと
思われていたそうですが故宮が有名な昆虫学者に鑑定依頼して研究を行った
結果、一匹がキリギリスで、もう 一匹はイナゴだと最近になってから
判明をしました。
お嫁入り時の願いをこめて作られた白菜は、
清廉潔白(お嬢さんの純潔)を象徴し、キリギリスは、子孫繁栄(多産)を
象徴しています。
全長19cmの翡翠の原石で作られた、この素晴らしいグラデーションと
透明感には、言葉を失なってしまいました。