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「舞台裏の仲間たち」 47~48

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 そこまで一気に語った亀田社長が、
ロックのウイスキーを一口に呑みほし、額に浮かんできた汗を
乱暴におしぼりで拭い始めました。
金型の製作と言うのは、新製品の図面だけをもとにして、
習熟した機械加工と、繊細な手加工によって仕上ることが要求される
特殊な金属加工の世界です。
例えば、光沢のある滑らかなプラスチックの表面を生み出すために、
削られた金属の表面を鏡のようになるまで人の手によって
ピカピカになるまで磨きあげる工程などもあるのです。


 製品全般において、プラスチックの製品を必要とする場合には、
まずその製品の図面がひかれます。
図面にしめされた新製品の形状を正確に、かつ忠実に、
プラスチック形状の原型を再現したものが、金型と呼ばれています。
新製品の良し悪しを左右するのは、すべてはこの金型の完成度に
かかっています。



 「現状で台湾では、完成した金型は出来あがらない。
 俺の言っている意味はわかるよね・・・・
 順平君。
 可能性を随分と模索をしたが、結論は変わらないと思う・・・
 後に2週間もすると、未完成なままに
 金型を船便で日本に向かって送り出すことになる。」


 「それは、最初の金型が未完成のまま
 日本に送られてしまう・・・
 と言う意味ですね。
 至急の対策を、早急に取る必要が有ると言うことですか。
 僕が呼ばれたのは、やはりそう言う意味ですね」


 「上の連中たちも、これは想定の範囲だと言っている。
 人件費の安い海外で、金型を8割程度にまで造っておいて、
 あとは国内の工場で完全に仕上げれば、それなりのコストダウンには
 なるという。ただ・・・・
 国内での対応いかんでは、大変な事態になってしまう。
 うまくローテーションが組めれば、大幅なコストダウンもあるが、
 しくじれば大変な打撃にもなる。
 事態は急を要している」

 「私に、声がかかるのが早いと思っていました。
 やはり、そう言う背景がありましたか。
 わかりました、
 戻ったら最善をつくします。
 病んでいてもはじまりませんからね・・・・」


 「そういうことだ。
 この一件には、この亀田金型のこの後の全てがかかっている
 よろしく頼むよ、順平さん」


 やはりと言う気持ちはありましたが、ここでジタバタしたところで
簡単に解決がつくという話でもありません。
技術的に立ち遅れている地域へ進出をするということは、
常にこうしたリスクを伴います。
ほっとした亀田社長とその後30分ほど雑談を交わしてから、
それぞれ別行動で、昨日のお店に出かけました。