落ちてきた将軍
「そうだった・・・家綱、綱吉、家宣、家継、そして、8代・暴れん坊将軍・吉宗!・・・水戸の黄門様はどの時代だったかしら?」
「光圀翁は家康翁のお孫に当たる」
「・・・お殿様のお父様って誰なの?」
「言わなかったか?ワシは江戸城で生まれた」
「えっ?じゃあ・・・」
「今の将軍様が父上じゃ」
「えっ!えぇ〜!家斉様って言うから・・・」
「将軍様は将軍様じゃ・・・子であるワシとて、そう呼ぶ」
「せ、先輩・・・一体何を話しているのですか?そうじゃなくて・・・本当は誰なの?さっきの活躍振りといい、只者じゃ無い事は判るけど・・・あの・・その・・・。」
「ちょん髷は、本物よ。」
「それくらい見れば分かりますよ・・・じゃあ、何で、徳川家慶様が出てくるんですか?」
「言っても信じないわよ。」
「信じるか信じないかは、言ってみないと分かりませんよ・・・私は先輩を信じています。だから、先輩の言う事なら信じます。・・・話して下さい。」
「綾乃殿・・・ワシが話そう・・・・」
「そうね・・・お殿様から話してあげてくださいまし。」
「うむ・・・・では・・・物語るぞ・・・」
「・・・お好きに」
「ウオホンッ・・・時は天保元年、正月3日。場所は江戸城の松林!・・・我、家慶と対峙したるは、旧友、水野忠邦。降りそそぐ太陽に朝露も飛び、陽の光を集めた名刀・国光の切っ先が・・・」
「お殿様・・・普通にお話くださいまし。」
「うっ・・・普通・・・とな」
「はい。何が、起きて、どうなったか・・・です」