落ちてきた将軍
二人は、額に玉のような汗を溜めつつ、木箱を掘り出した。
「ふぅ〜〜・・・何だか、凄く古い木箱ね・・・何が入ってるんだろう」
「先輩・・・早く開けてください・・・私、開ける勇気無いです」
「相変わらず臆病ね・・・さて・・・どれどれ・・・えっ・・・えええっ!」
「凄い!・・・小判だっ!」
「なるほど・・・お殿様が埋めたんだわ・・・お江戸に戻って埋めたのよ」
「だから・・・時が経って・・・」
「そういう事!」
「一体・・・幾らになるんですか!?・・・凄い、凄い!」
「ちょっとまって・・・まだ、下にもあるわよ・・・きゃ〜〜!・・・お殿様!太っ腹!・・・運びきれないよ〜〜!綾乃先輩も蘭さんも早く戻ってこないかな〜〜すごい、凄いっ!」
家慶は江戸に戻った後、福岡藩に命じて千両箱を五つ、楠の下に埋めさせていたのだ。家慶は、江戸幕府の行く末を垣間見た。三百年続いた徳川の時代も終焉を迎える。 彼からすれば、わが身に起きた冒険への代価のつもりだったのかもしれない。
自由を得たくノ一・蘭は、今日も時空を越えていく。印を結び、呪文を唱え、そして叫ぶ。
「出でよ!龍!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・了
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