「舞台裏の仲間たち」 45~46
なるほど、空港のロビーから出た表の通りには、
ヘルメットをかぶってスクーターで待機している少女たちの群れがあります。
連れの愛人が手を振ると、一人の女の子がヘルメットを片手に飛んできました。
スクーターの後部座席に乗り込む前に、亀田社長に背中を叩かれました。
「順平君。
女なら腐るほどいますから、気に入らないのなら
遠慮なく、キャンセルをしてください。
公娼制度とはいえ、ここではお互いの自由恋愛が基本です。
ここでの、(娼婦たちの)衛生管理は、
徹底して行き届いています。
毎月一度、病気の検査を受けていますから
今ここにいるこの子たちは、
完璧に『安心』ですから」
なるほどと思いながら、スクーターの後ろに乗せてもらいました。
しかしこの直後に、さらに驚愕するような事態が起こります。
市内地へ向かって、元気にスクーターが走りだしましたが、
交差点や曲がり角などで、徐行や、一時停止をする素振りなどを
全く見せません。
信号は点灯いるのですが、赤で有ろうがおかまいなしに
すこしでも車の流れに隙間が有れば、当たり前のように割り込むし、
走り抜けて行ってしまいます。
たしかに・・・・大変な処に来てしまいました。
■日清戦争後の下関条約(1895)によって、
日本の企業は朝鮮半島、台湾、中国大陸への進出を本格化しました。
1895 年(明治28 年)4月、日本は台湾を清朝より割譲し、
台湾は1945 年10 月までの50 年間にわたり、
日本の統治下にありました。
その間、台湾の天然資源、労働力を利用するために、
鉱山の開発、鉄道の建設、農林水産業の近代化、などに
日本(いわゆる内地)から資本が投下され、
植民地型の対外投資が、行われていました。
(47)へ、つづく
作品名:「舞台裏の仲間たち」 45~46 作家名:落合順平