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四神倶楽部物語

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 いよいよ現実にミッション遂行です。それは土蜘蛛星人の女王蜘蛛に天誅を加える。その実行を開始することです。そして、その前夜、京都の秘密基地でさらに調査したり準備したりのため、ほとんど徹夜となりました。
 そして夜が明け、扉を通って、私たちはそれぞれの東京の部屋に一旦戻り、そこでしばらく身体を休め、昼前に全員、私のアパートに集合しました。昨夜はほとんど眠らずの一夜だったわけですが、疲れたなどと言ってられません。

「さあ、出発するぞ!」
 私は声を掛け、用意しておいたいろいろな小道具をどっさりと私のオンボロ車に積み込みました。そして四神倶楽部の使命感に燃えたみんなを乗せ、アクセルを踏み込みました。

 向かう先はもちろん富士山麓の現地です。そこに広がる青木ヶ原樹海、その深い原始林の森の中に大室山があります。そして、その麓に三つ洞窟、すなわち富士風穴、本栖風穴、大室洞穴があり、それらを結んだ三角形の中心に世間では未だ知られていない百鬼洞穴があります。
 私たちは調べてわかってました。土蜘蛛星人の女王はそこの地底深くに潜っているのだと。

 私たちはまず富士五湖の西湖へと車を走らせ、そこから71号線を5キロほど南下しました。そしてその地点から徒歩で、1キロメートルほど先にある百鬼風穴を目指しました。
 距離はそれほどでもないのですが、帯磁した鉄分含有の溶岩で磁石はまったく働きません。その上に鬱蒼と茂る樹木で先を見通すことができず、また360度見渡しても同じ森の風景です。これにより簡単に道に迷い、樹海からは出てこれない危険があります。また視界不良で、果たして目的地の百鬼洞穴に辿り着けるかどうかも危ういものです。

 しかし、私たちにはグリーンスターから持ち帰った知能昆虫ロボット、インセノイドがいます。私はリュックサックに収めていた小さなケースから蜂インセノイドを取り出しました。悠太はそれを受け取り、タブレットPCから位置誘導プログラムを作動させ、目標位置ならびに現位置のXYZ座標信号を送りました。
 そして蜂インセノイドの赤目が点滅するのを確認し、空中へと放ちました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊