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月の依る辺に

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 しかし、お前は鈍いんだか、鋭いんだかわからないね。」
「何すか、さっきまで馬鹿にしてたのに。」
「いやなに、気にするな。それで、どうするつもりだ?」
また唐突な話題変更。こっちの脳はハイスペックじゃないことを考慮してほしい。
「どうもも何も、俺関係ないですよね。言われたことはとりあえずやりましたし。」
「関係ないことはないでしょ。私との約束もあることだし。それに話を聞いた感じ、尚更現代医学では原因の究明は難しい。憶測を立てることはできるが、究明することはできないんだよ。憶測に基づいて解決策を色々立てるのは非効率的だしな。」
要は面倒なんですね。この怠慢医師が。
「怠慢ではないよ。分を弁えてるだけ。」
「…心の動きはスルーしてください。頼むから。」
「まぁ今回は許してあげよう。
 だが、関係あるなしは置いておいて、私との契約は守れ。守らなければ困るのは結局お前だろう?」
つまりは自分の為にやれ、か。どちらにこけても俺の精神衛生上、まっことよろしくないことになるんだな。
…なら仕方ない。より苦痛の少ない方をとることにしよう。だってほら、俺マゾの気はないし。
「…わかりましたよ。彼女の原因を特定すればいいんでしょう。」
「あぁ。それと、解決法もな。元々こちらがメインだからな。
 まぁ、お前の眼でしか視えないんだから、必然的に解決するのもお前になるがな。」
はぁ、鬱になる。
気分的にはお金を払って拷問を受けに行く感じに近い。
なんせ費用対効果がプラスに転じることは絶対に有り得ないから。
作品名:月の依る辺に 作家名:高崎 彰悟