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妖精のたまご

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滝の流れの後ろ側で、トカゲは
フクロウの力強い羽音を聞きました

トカゲは、フクロウに判らないように
妖精のたまごを見つけていたのです

最初は、フクロウを使って
楽にエサを手に入れたり
便利に使おうと考えていましたが

優しいフクロウの存在に
ひねくれた心が、少しずつ優しい心に変わって行ったのです

だから、フクロウに判らないように
毎日「いい事」を少しずつ積み重ねて
ようやくたまごを見つけていました

そして、フクロウが飛べるようになるように
お母さんと会えますように

そうお願いをしていたのです

お願いをしたからなのか
それとも、単にふくろうが元気になったからなのか
どちらなのかは判らなかったけれど

フクロウが飛べるようになっている事も知っていました
そして、自分の為に
飛べないふりをしている事も知っていました

そう
もう、フクロウに妖精のたまごが必要無い事を
トカゲは知っていたのです

自分の力で飛んで、生きて行ける事を
知っていたのです

けれど優しいフクロウは
傍を離れないような気がしていました

だから、わざと聞こえるように
嘘をついたのです



トカゲはまた一人ぼっちになりました
フクロウと出会う前に戻ってしまいました
とても寂しくて、悲しかったけれど
でも、もう前のトカゲとは違います

フクロウのおかげで、優しいトカゲになれたのです








________________おしまい






作品名:妖精のたまご 作家名:fool