妄想クラブより バック・シート・ドール に愛をこめて
どんなに愛したって
ほんの片手間 あなたには
愛すれば愛すほどに
涙だけが残る
女性が鞄に洋服や彼の好きだったファンデーションを涙ながらに入れるのは、これは応えられません。そんなところ見ると「俺が悪かった」と後ろから抱きしめたくなるじゃありませんか。そして「私の彼」の口づけと繋がるのでしょうが。彼女はもうその手には乗りません。ぽたぽたと落ちる美しい涙、それももう枯れかけているのでしょう。
あなたにすれば 私はどうせ
バック・シート・ドール
邪魔にもならず なければないで
済んでしまう相手
さて、ここで最初に悩んだ人形が再び登場するのですね、助手席には新しい女が座り二人は楽しげに新しい生活に向け走り出すのでしょう。その新しい女は車内の人形に気づき
「これはなに?」なんて聞き、男は二人の思い出だった人形だのに「ああ、後ろへほおって置けば」と答え、薄汚れた人形は女の手によって後部座席にポンと投げられ、横になったまま寂しく二人を見てるのでしょう。明るい会話の中で車が走り出す。そうなるとミッキーマウスでは駄目なんですね。それなりの人形で無いとね。
縫いぐるみベスト5で堂々の一意は熊の縫いぐるみだそうです。テディーベアーというのは確かにいろいろな場面で登場しますが、無難な線かもしれませんが、この人形何がいいのか、今でも私は思いつきません。
作品名:妄想クラブより バック・シート・ドール に愛をこめて 作家名:のすひろ