海の上のクリスマス
島に居る人たちと一緒に、塔の中に入ると
いろんな物がそろっています
男の子は、とても喜んで
サンタクロースからの手紙を、宝物にして大事に持っていました
海の水はどんどん増えて行って、塔の真ん中辺りまで
上がって来たけれど
それでも、十分に住む場所はありました
大きくなった男の子は、泳ぎが上手になって
最初に住んでいた場所まで、潜ってみる事にしました
深く潜って行くと、その場所でキラキラと光る石を見つけました
息が苦しくなって来たけれど
それは、サンタクロースからの最後の贈り物のような気がして
頑張ってその石に手を伸ばしました
どうにか石を手にすると、急に息が楽になりました
その時、サンタクロースの声が聞こえました
おおきくなったね
君は私との約束を守って
お母さんを大事にして来た
だからこれを見つける事が出来たんだ
この石を持っていれば
海の中でも息が出来る
いつか、海の水が少なくなれば
また、色んな島が生まれてくる
それまで頑張るんだよ
一瞬、サンタクロースの姿が見えました
その姿は、その一瞬だけで消えてしまいました
サンタクロースは、男の子の願いを叶えた後
ずっと、その様子を見守っていました
消えそうになりながら、それでも
男の子がその石を見つける事が出来るまではと頑張っていたのでした
サンタクロースは、決まりを破る事で
自分の命を削ってしまうのです
自分の命を削って、塔を建てたのです
けれど、その事を決して後悔はしませんでした
願った通りに、男の子が本当に大切なものを見つけていたからです
それからずっとずっと時が流れ
海の水は、少しずつ減って来ました
そこここに島が生まれ、草花が成長し、木が生えました
小さな命がそこここで誕生し、緑が増えました
地球は、もう一度本来の力を取り戻したのです
もう、海の水が増える事はありません
地球に生きる人たちが、本当に大切なものを守っている限り