フェル・アルム刻記
「ことは急がねば……か」ルードはひとりごちた。
「マルディリーン様が来るなんて……やっぱりとてつもないことになってきてるのね……。あの方は、アリューザ・ガルドにだって姿を見せたことがないはずなのに」
ライカは考えるルードの横顔を見て言った。そして息を吸い込んで……。
「うん! ……行こう? ルード!」
ライカはルードの手を取ると、足早に歩き出した。
「ライカ?」
「ことは急がなきゃならないんでしょ? だったら〈帳〉さんのところに行って、かけ合ってきましょうよ、二人で、ね!」
ライカは目配せをして答えた。