歴詩 集
『京のおなご・おりょう』
悲しおした つろうおした
あんさんが 近江屋(おうみや)で 殺(あや)められはって
あたし ひやこいなみだ たんと 流したんえ
あんさんが いっぱいこ好いてた 八坂(やさか)のさくら
あでやかに ことしも 咲いてくれはった
京のおなごは 芯が強(つよ)おます
そやさかい 今日からは
泣きめそなんか かんにんなんえ
なんしか あたしは
あんさんが 惚れてくれはった 恋女房やもん
楽しおした おもろおした
あんさんと 霧島(きりしま)へ 新婚旅行
今も ほのかな夢に たんと 出てくるんえ
ほのぼのと あんさんと歩いた 豊後(ぶんご)の道は
さやさやと ことしも 風が吹いてます
京のおなごは 情が薄(うす)おます
そやさかい 今日からは
淡夢(あわゆめ)なんか かんにんなんえ
なんしか あたしは
あんさんの やんちゃで かいらしい 同志やったもん
きばりおした えろうおした
あんさんは 世直しで 命かけはった
ほんに 純な一生涯 あての 自慢なんどすえ
いっぱいこ あんさんをいやした 古都の四季
ゆるゆると ことしも 移(うつ)ろいゆきます
京のおなごは 欲が深おます
そやさかい 明日(あした)から
一所懸命 生きてゆきます
なんしか あたしは
あんさんが 抱いてくれはった 恋女房やもん
京のおなごは 芯が強(つよ)おます
京のおなごは 情が薄(うす)おます
京のおなごは 欲が深おます
そやさかい 今日から
泣きめそなんか
そやさかい 今日から
淡夢(あわゆめ)なんか
そうなんえ
明日(あした)から
一所懸命 生きてゆきます
なんしか あたしは
あんさんが 愛してくれはった 恋女房やもん