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「舞台裏の仲間たち」 36~37

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 「そのつもりで、二人だけになったの、レイコちゃん。
 それに答えるつもりで此処にあなたを連れてきたんだもの、
 本当のことを言わなければ、あなたにも
 脚本を引きうけてくれた順平君にも失礼にあたると思う。
 何でも聞いて頂戴、全部答えます。」


 「最初の時には茜さんには、此処で何が見えたのですか?。
 それが今回の、脚本を書いてほしいというお話の
 原点になると思うのですが・・・
 実は今回の話をきっかけに、私には嬉しい展開が始まりました。
 順平が、このお話に、あんなにやる気を見せたのも
 たぶん久々だと思います。
 それ以上に、もうひとつの大きなものが動き始めました。」

 「レイコちゃんにとって、大きなもの?
 なんだろうそれ。
 少し気になる言い方ね。」


 「でも、ちょっぴり恥ずかしいなぁ・・・
 実はね、順平が、この本を書きあげたら結婚しょうと
 初めて言ってくれたの。
 わたしたちって、幼馴染でもう25年近くも知り合いのままだった。
 いつから順平を好きになったのかも気がつかなかったし、
 気がつけば私は、いつも順平の周りに自分の居場所を作っていたの。
 順平が私のことをどう思っているのかは知らないけれど、
 私には、順平がどうしても必要なの。
 それがはっきりと分かった時に、あいつったら
 4年近くも日本中を放浪したまま帰ってこなかったし、
 やっと戻ってきたと思ったら、
 今度は私が保育園の仕事で、てんてこ舞いになっちゃった。
 そんなこんなで、また3年がたっちゃった。
 でも・・・・やっと順平が、私のもとに帰ってくるの。
 茜さんと石川さんが、順平にきっかけをくれて
 火をつけてくれたんだと思う。
 ありがとう、茜さん。
 あなたのおかげなの、私の未来が開けたのは。」


 「そうなんだ。
 それなら希望が見えるはずだわ。
 良かったねレイコちゃん、


 レイコが嬉しそうにちょっぴり頬を染めています。
そんなレイコの袖を引いて、茜が目で戸外へと誘います。
気配を察したレイコが、ぴったりと連れ立ったまま明るい日差しの溢れる
中庭に向かって歩き始めます。
ちょうど、二号館では一通りの作品を見終わった男たちが、
窓際から、中庭に出てくる、このレイコと茜の姿を見つけました。


 「順平さん・・・・
 二人が連れだって出てきましたが、
 また訳あり風にベンチに腰をおろしてしまいました。
 雰囲気的に見ても、どうやら難しそうな話がまた始まる気配がします。
 どうします・・・
 もう一周しましょうか。」

 「やむをえませんね・・・。」