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「舞台裏の仲間たち」 34~35

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 「その通りだわ、
 なんとなくだけど、私も頑張ろうって気になってくるもの。
 やっぱり・・・本物は違うわね。」

 「そういうことだろうね。
 さて、たっぷりと感動をもらったから、茜さんたちの所へ行こうか。
 もう待ちくたびれているだろうから・・・。」

 「そうかなぁ・・・
 茜さんったら、2~3時間はクギ漬けでもいいって言ってたわよ。
 テラスから雄大な穂高の景色を眺めながら、彼と恋人気分にひたるから、
 なるべくゆっくりしてきてくださいって、別れ際に
 それとなく耳打ちをされちゃった。」


 「なるほどね、それも一理ある。
 じゃあ、お嬢さん、
 こちらも負けずに、前に見えるちひろ公園の散策などに行きますか。
 表は晴れていて、とても天気がいいようです。」




 「お嬢さんは、すこし気恥ずかしいな。」

 「もう少ししたら、この先で奥さんと呼べるけどね。」



 「え?どういう意味・・・」

 「石川さんと約束をしたんだ。
 どんな深い事情があって茜さんがこだわっているのかは、
 よく分からないけれど
 黒光を演じることに、どうやらこだわりと大きな意味がありそうなんだ。
 目立つことは避けて、いつも姉の背中に隠れていた茜さんが
 一大決心をしたうえでの、初めての挑戦になるそうだ。
 石川さんも、そんな茜さんをしっかりと受けとめるために、
 いまから準備をはじめるそうだ。
 二人に何があるのか、いまだに事情は解らないけれど
 俺に出来ることと言えば、全力で黒光の脚本を書き上げることだけだ。
 たぶん、最近には記憶が無いほどの、
 緊張感のある、とてもやりがいのある創作になると思う。
 絶対にいいものを書き上げて見せるから、書き上がったらその時には
 レイコ、 俺と結婚をしてくれ。
 お前へのプロポーズのつもりで書きあげてみせるから。
 今度こそ、この機会を逃さずに一緒になろう・・・
 ずいぶんと待たせてしまったね、レイコ。
 一緒に暮らそうぜ、俺たち。」

 「ッ順平・・・」

 「いやか?。」



 「ううん・・・でもさぁ、
 なんで今頃になってから、泣かせるのさ。順平ったら。」

 「25年もたったんだ。
 別々に過ごしたまま、四半世紀になっちまったんだぜ、俺たち。」

 「待ったかいがあった・・・。」


 「ン、何か言ったか?」

 「別に。さあ行くわよ、表。」


(36)へ、つづく