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八方美人のすすめ 4月 2日 お遍路 追加

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八方美人の薦め

以前はよく言われました、何でも興味があり長続きしない八方美人のような人ですねって。しかし何でも興味があるからこれは仕方ない、興味が次の興味を生みどんどん広がってしまうのはこの宇宙の如しといえばそれは言い過ぎだろうか。

 たとえばすべての芸術は音楽に嫉妬するといわれる音楽。この音楽にもさまざまなジャンルがあり、それぞれに名手というのがいる。クラシックと一口に言ってもピアニスト、バイオリニスト、声楽・・・ジャンルもルネッサンス、宗教音楽、オペラ、現代音楽と限りが無い。では何が好きかと聞かれても答えられないが、今はオペラはそのひとつである。
 それを話すと「随分高尚な趣味をお持ちですこと」といわれるかそんなことは無く、ジャズも聴けばロックも好きで国内だと矢沢永吉は良いと思うし、若い頃聞いたQueen やChicagoも良いと思うしMJQは夜にぴったりと感じる。
 一方、では西洋かぶれかといわれればそうでもなく、先日なくなられた中村勘三郎や坂東玉三郎の歌舞伎も好きだし、常磐津も好んで聞く。それを聞くとその場面が浮かぶから今度は日本画を見る。すると、伊藤深水を見るとこれは美しいと思い上村松園を見るとこの女性の内面性を表現するのは凄すぎると感じ横山大観はよく観察していると感じる。
それを見るから今度は生の女性の話す言葉や所作が気になり、それどころか日頃のちょっとした変化、つまり歩道に咲いた花だったり、街路樹の葉の色、空の青さに沸きあがる雲の違いが気になる。するとそれを楽しむのが楽しくなり生きていること自体が楽しくて仕方なくなるという塩梅。

 なんで多くの人は食わず嫌いで楽しむことをしないのか不思議でならない。
ある時近くの小さな美術館が日本画の名画を展示していた。パート先でならんだ若者がいてその話になり「日本画っていいですか」というので「いいよ、あのな・・・」と鑑賞の仕方のヒントを話してあげた。興味を持った彼はそれまで日本画など見たことも無かったが行ってみると言い出した。翌日月曜、目をまん丸にした彼が近付き
「行ってきましたよ、いや行ってよかったです。凄いです、教わったとおりでした」と嬉しげに話すのでこちらも嬉しくなった。
「じゃあ次は・・・」というので有名バレリーナのガラを録画したものを持っていたのでそれを貸してあげると、翌日また同じように目をまん丸にした。次はオペラそれも同じ。
それ以来彼は見方が変わりいろいろなジャンルを楽しむだけでなく、骨髄バンクも登録してくれた。