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「舞台裏の仲間たち」 30~31

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 ベトナム戦争末期、 1972年から1973年にかけベトナム全土にたいして、
米軍による爆撃が激化をみせています。
「戦火の中の子どもたち」はちひろによって書かれた、
反戦を色濃くした作品です。
絵本の制作時に、すでに体調を崩していたちひろは、この絵本の完成から
1年後の1974年8月8日、ベトナム戦争の終結を知ることなく
惜しまれながら他界をしています。
『戦火のなかの子どもたち』は、ちひろが最後に完成させた
絵本になってしまいました。

 添えられていたちひろの詩に
順平の目がクギつけになってしまいます。


   赤いシクラメンの花は


  きょねんもおととしも そのまえのとしも
  冬のわたしのしごとばの紅一点
  ひとつひとつ
  いつとはなしにひらいては
  しごとちゅうのわたしとひとみをかわす。

  きょねんもおととしも そのまえのとしも
  ベトナムの子どもの頭のうえに
  ばくだんはかぎりなくふった。

  赤いシクラメンの
  そのすきとおった花びらのなかから
  しんでいったその子たちの
  ひとみがささやく。
  あたしたちの一生は
  ずーっと せんそうのなかだけだった


 「絵本作家の絵じゃないなぁ・・・
 計算されつくした色彩感覚と、研ぎ澄まされた表現技術の世界だ。
 たった一本の線で、すっぱりと対象物を描ききれるなんて、
 デッサン力には凄いものがある。
 天才だね、この人。」