心の中の雨の音(詩集)
優しい風が吹いた日
急に気温が上がったので
懐かしい何かを思い出しかけた
優しい風に頬をなでられたら
それは風に運ばれてしまった
すぐに風の行方を追ったら
懐かしい何かの後ろ姿を見た
もっと見たくて追いかけてみたが
追いかけた分だけ遠ざかった
急に気温が上がったから
未来のことは考えたくなかった
優しい風も同調してくれたので
懐かしい何かを思い浮かべた
優しい風が吹いた日は
時間が逆回りしている気分になる
気温が上がったこんな日は
若返ったつもりになるのもいい
優しい風が吹いたから
優しい気持ちになってみる
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川