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「舞台裏の仲間たち」 27~29

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 「はい。退屈したでしょう、次の本。
 あ、こちらは、時絵ママさんから紹介のあった石川さん。
 例の脚本のお話の方です、
 じゃもう帰りますからね、何かご用はありますか、
 わたしの未来の旦那様。」

 「あるとすれば、お別れのキスだけです。」

 「もう、順平ったら、馬鹿なことは言わないの、
 お客様が面食らうでしょ。
 もういいから・・・ちゃんと、
 お客様のお話を聞いてあげてくださいね。」


 レイコは、くるりと踵をかえして立ち去ってしまいます。
いいんですか本当にと心配すると、仕事が終わったらどうせまた
やってくるからと順平も、涼しい顔で返事をしています。

 「そこのお花は、時絵ママさんから頂きました。
 二人を結婚させるためにも、どうしても脚本を書けと脅されました。
 美人に脅迫をされると、実に鬼気迫るものがありますねぇ、
 俺はどちらかと言えば、ちづるさんのファンですが。
 それはさておいて、先日の復活公演は実に見事でした。
 久々に感動というものを味わいました・・・
 あ、どうぞ、座ってください、
 立ち話もなんですから。」

 順平の目が、人懐っこく笑っています。
うながされるままに椅子に座ろうとしたら、ベッドの下には、
うずたかく積まれた本の山が見えます。
入院して一週間でもう、こんなに読まれたのですかと聞けば、

 「いえ、ページは全部めくりましたが、
 中身はほとんど読んでいません。
 どこに何が書いてあるのか、記憶している程度で必要に応じて、
 あとでゆっくり読みなおします。
 本と言うのは、知識の取り扱い説明書みたいなものですから、
 扱いは辞書と同じです。」

 「それでは感動があまりないのでは、?」と思わず聞着直してしまいます。


 「そこのところが、実に難しい問題です。 
 本をどう読むのかと言う話は、又別の機会に譲りましょう。
 それよりも石川さん、
 あなたは実によい友人たちというか、仲間に恵まれています。
 大の大人が、茜さんと石川さんのために
 我を忘れて奔走をしているのですから。
 それ、そこにあるものも実は、
 座長さんからプレゼントされたです。」


 順平が脇に置かれたテーブルを上を指さします。
見れば、碌山の作品が載った本がすでに、
うずたかく・・・山のように積み上げられています。



(28)へつづく